介護職が利用者と家族の意向・意思を調整する場合の技法・ポイントについて

介護サービスに対しての家族と利用者との意向

利用者の意向を把握する

介護サービスを提供するにあたり、利用者本人の意向や要望を把握することは必要ですが、簡単に意向を把握出来るわけではありません。

例えば、介護職が「どういうサービスを受けたいですか?」と質問して、利用者が「○○のサービスを受けたい」とハッキリと意思表示したとします。

しかし実際は、介護職との間に信頼関係が築けていない場合、本心を明かしていないか、いくらお願いしても実現できないだろうと期待していない場合があります。

介護職は利用者から感じる非言語的な表現に注目して、話内容や表情などをよく観察し何か変だな本心ではないなと感じた場合は、共感・傾聴などのコミュニケーション技法を活用しながら利用者に「どうしてほしいのか、あなたの本心を聞きたい」と何度も語りかけることが重要です。

家族の意向を把握する

利用者が要望する意向と家族の意向が違っていても、利用者のことを大事に考えていないと勝手に判断するべきではありません。

利用者と家族の思いがくい違った原因や背景にも注目してみるべきです。

利用者と家族の関係がどんな状態でも、介護職本人の価値基準を家族に押し付け批判することは絶対に避けるべきで十分注意する必要があります。

家族と利用者との意向がくい違うことになる原因には次のような事が考えられます。

  1. 家族が利用者の様子や実情を正しく把握していない
    自分の親が歳を積み重ねていく現状を正視するのは子どもからしたら悲しいものである。

    よって、自分の願望が計算に入れられた特定条件で現状を解釈するケースがある。

  2. 家族のモラルセンスで利用者を気遣っている
    家族が利用者のためにと思っている場合でも利用者の考えと全然異なるケースがある。

    一例として、利用者の意向を考慮せず家族が保護しようとすることがよく見受けられる。

  3. 家族自身の実益を最も重要視している
    自身の生活が一番重要だと家族が考えているケースもある。
  4. 但し、家族により利用者の要望が無視され、権利侵害も引き起こされているような事態であれば、介護職は利用者側に立って権利擁護する必要がある。

利用者の意向の現実性を検討する

家族と利用者の意向の違いを正確に理解した後に、利用者の要望が実現できるかを考えていきます。

但し、家族や介護援助者の権利が利用者の意向により侵害されることが在り得る状況下なら、利用者の意向を見直しすることが必要です。

1つの例として、「寝たきりの妻の排便・排尿に関して、夫の介護以外は受けたくないという意向を妻が要望した場合、夫は80歳を超えており足腰が悪いので、もし介護を継続して行っていくと健康を害することになる」というような場合には、妻の意向要望は夫の権利を侵害することに繋がります。

なので、家族に無理な負担がかからないよう現状を踏まえ実現可能な意向を利用者が要望できるように援助していきます。

介護サービスに対しての家族と利用者の意向の調整

利用者の意向を家族が理解できるように支援する

家族と利用者の意向に相違点がある時は、利用者が本心で望んでいる意向を家族が知り気持を汲み取る努力をすることです。

家族に十分理解してもらうには、利用者本人が直接意向を家族に説明できるように介護職は手助けすることが必要になります。

家族に利用者の本心や真の意向を理解してもらえるように手助けする手順は以下の通りです。

  1. 利用者の意向を傾聴する。
  2. 家族の意向を傾聴する。
  3. 家族に対し利用者本人が直接意向を説明できるように利用者の動機付けを行う。
  4. 利用者の意向を家族が聞き入れるように動機付けを行う。
  5. 家族と利用者とが真剣に対話できる環境を整える。
  6. 利用者が家族と対話出来る切っ掛けをつくる。
  7. 家族と利用者が共通認識を得ているかチェックしながら対話を促す。

利用者本人の口から家族に話すのが難しい状況にある場合や、家族と利用者間で対立した状態が発生している場合は、家族に対する思いや利用者の要望などについて介護職が代わりに説明することが求められます。

利用者と家族の意向が一致するように支援する

利用者の要望や意向を家族が十分理解するに至れば、双方の思惑が合致するように誘導します。

利用者と家族の要望や現実的な具体策が違っていても、「親には残りの人生は楽しく過ごしてほしい」という願望などは双方に大きな相違点が見当たらないケースがほとんどです。

家族と利用者が共に抱いている共通事項を見い出し、同じ考えに立っていることを認識した上で、家族が利用者の視点で物事を考えれるように支援を行います。

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