障害者の心理状態、介護する家族の心理状態、援助するホームヘルパーの役割

障害者介護の特徴と障害者の心理状態

 障害者を抱えた成人や児童の介護を行う場合は、障害者独特の心理状態を理解し、単に元気づけるために無責任な励まし方をしたりせず、身体面での介護だけでなく、心理的側面からのサポートも行えるようにします。

障害による特有の心理

知的障害者特有の心理状態

 主体的に自ら行動することがほぼなく、環境や状況の変化に合わせて対応し行動することが難しく、自分以外の人からの忠告や意見に影響を受け左右されやすいのが大きな心理的特性です。

運動障害者特有の心理状態

 自分自身の安全を守るために、環境・状態・状況など周囲の変化を嫌い、外部からの刺激に対しては敏感に反応し、一つの物事に固執したり、依存したりする傾向が強くなります。

障害による心理的落ち込み

 障害者には、次のような心理状態に落ち込むケースが多く見られますが、人生の中途で事故や病気で障害を抱えた後天的な障害者の場合は、障害を持って生まれた先天的な障害者より心の落ち込み方が激しくなります。

状態

内容

悩み苦しむ 何故、自分にこんな不幸な出来事が起こるのか。
否定し拒否する 障害を負った現状に納得できず否定したがる。
退行行動 実年齢よりも実行動が後退し、子どもの場合は赤ちゃん帰りの状態になる。
かんしゃくを起こす イライラして怒り出したり、人に当たり散らしたりする。
欲求・要望を抑圧し無視する 無気力、無関心に陥る。
現実逃避 幻想や空想に浸り、現実世界から逃げる。

障害者に頑張ってという励ましは禁句

 障害者は他人から言われなくても自分で何でもできるようにと、日々懸命に頑張り生活しています。

そこに、健常者が何気なく「頑張ってね」と悪気なく発した一言でも、障害者の中には、これ以上どれだけ頑張れというのかとプレッシャーを感じる人もおり、精神的に追い込み傷つけることもあるのです。

なので、安易な励ましは慎み、言葉をかける時は十分な注意と配慮が必要です。

障害の受容には価値転換が必要

 自分が負った障害を受け容れるまでの段階や時間は、個人の状態により大きな差が生じます。

障害を受容できる心境に至るまでには、価値を転換することが一番の特効薬です。

価値転換の過程は、まず自分が負う障害以外の面を意識し注力して自己評価を高め、次に障害を負った現在とそうでなかった過去との自分を比較しないという流れで考えを切り替えていきます。

障害を負っているからこそ、他人や周囲の人々に影響を与え、感動や希望を感じさせることができる場合もありますし、実際与えている障害者もいるのです。

なので、障害者介護を行う場合は、障害とは何かをよく理解し本人の状態を把握して、過剰な手助けは控え、言動の裏にある本心を察していけるように意識し行動します。

障害者家族の特徴と心理状態

 障害者を抱える家族も本人と同様にストレスを感じており、将来に対する大きな不安や恐怖を抱いている方が多く、介護ヘルパーは家族に対して介護以外の話題に関心を持たせるなど、出来る限り心に余裕を与えることも重要な仕事です。

障害者家族は将来への不安感が増大する

 家族は家庭内に障害を負った者がいる場合、様々な心配や不安に襲われ孤立感や恐怖感を感じて悲観的な気分に陥ることがあるものです。

障害者介護のため自由がなくストレスが増大

 重い障害がある児童の母親などは、日常生活上の世話を1日中行うことになります。

このような家庭では、父親や子供も家事を手伝い、自分の身の回りの事は本人が行うなど、家族全員が助け合って生活しているの一般的です。

しかし、この状態は家族各自の自由な時間を犠牲にして成り立っており、ストレスが長期に渡って蓄積していく原因になり、ストレスが限界点を超えると家庭内で様々な問題が起こります。

介護ヘルパーが障害者家族に支援すべき事とは

介護ヘルパーには家族の心と体をリフレッシュする役目もある

 ホームヘルパーとして障害者宅を訪問し、介護や支援を行う場合は、家族が自由に行動できる時間を与え心身共にリフレッシュできる機会を提供できるため、肉体的・精神的な家族支援に繋げることになります。

また、介護に追われている家族は、外部との関わりや交流が遮断されがちで、どうしても心が内向きになり暗い気持ちになりがちです。

なので、ホームヘルパーは、買い物、おしゃれ、映画などリフレッシュに繋がるような情報を家族に教えてあげて、少しでも外部と接することができる時間や機会を得れるようにしてあげることも大事です。

介護ヘルパーには家庭内トラブルを防ぐ役割もある

 家族間の対人関係が上手くいかず、家庭内で起こる小さな問題が大きな問題に発展することもあります。

最近は少子化や高齢化で家族が少ない家庭が多く、介護を行う場合、個人に大きな負担がかかる状況にあることも家族間のトラブルが多くなる要因の一つです。

特に障害を持った子供の母親は自分一人で責任を抱え込み、夫や親などに対しても遠慮気味になり、仕事や生活に関する悩みを背負い込む場合も少なくありません。

介護ヘルパーは、各家庭の事情に深く関わるため、家族の事情を一番知れる立場にいるので、母親が孤立し心身ともに追い込まれストレスを溜め込んでしまわないよう配慮したいものです。

客観的な立場で冷静に状況を観察できるので、家族間の不協和音の兆候を敏感に察知できることも多くあります。

原則、第三者の立場で、必要以外のことには関わらないようにしていくことが正しい接し方ですが、介護ヘルパーならではの立場を利用して、事前にトラブルの目を摘んだり、家族間のクッション役となったり、孤立した家族をサポートしたりすることも可能です。

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