1.介護・福祉分野における日本社会の現状
現在の日本社会は、世界最速で少子高齢化が進展しており、高齢者のうちで寝たきり状態や身体機能の衰え、認知症などで介護を要する方は、2005年当時で420万人、その後2015年には450万人と増加しており、今後2025年には530万人以上になると予測されています。
一方、出生率に関しては低下する一方で、2011年からは6年連続で人口減少が続いており、今後もさらに減少すると予想されています。
このような少子高齢化と共に高齢者夫婦や単身の世帯数増大が介護分野の大きな社会問題となっており、介護離職で仕事を辞めざるを得ない方も10万人以上に上ります。
以上のような時代背景において、介護や福祉に関する多様なニーズが生まれてきており、介護の仕事に関する関心も高くなってきています。
特に高齢者に対する福祉サービスを将来どのように充実させていけるかが、現在日本社会の重要課題となっています。
また、このような社会的背景により、介護の仕事は不況や景気の波に影響されることのない安定性のある職種といえます。
2.社会福祉サービスと法的整備状況の歴史の流れ
社会福祉サービスに関する日本での歴史を再度振り返って見ていくと、明治時代から民間の奉仕活動によってその活動がスタートしています。
その後、行政が主になって社会福祉を担うことになり、法律に関しても当時先進国であった欧米社会の保障制度を参考にして徐々に法整備が進展していきました。
1939年から1945年 までの6年間続いた第2次世界対戦後は、社会保障制度が日本国憲法に基き制定されていきました。
高齢者や障害者(児)の社会福祉施策、生活保護制度なども長年に渡り改正されてきましたが、少子高齢化が年々進展したために、現実的に対応できる新しい法整備が求められることになりました。
2-1.ゴールドプラン策定と介護保険制度の施行
そこで、国は高齢者福祉を目的としたゴールドプラン10ヵ年計画を1990年に掲げ、国や都道府県が主になって進めてきた福祉サービスを市区町村へと権限委譲し、1994年になるとゴールドプランから新ゴールドプランに移行していきました。
2000年に入ると超高齢社会に対応すべくゴールドプラン21(5ヵ年計画)が始まると共に、介護保険制度も施行されることになりました。
2-2.障害者自立支援法の成立
2003年には身体障害者(児)や知的障害者(児)に向けての支援費制度が始まり、その後、障害者自立支援法案も成立しています。
障害者自立支援法の成立以前は、身体・知的・精神の3体系の障害者サービスがありましたが、これらを一本化し利用者からは一定額のサービス利用料を負担してもらい、民間業者が提供する多様なサービスを選択して受けることができるようにしていくものです。
少子化対策では、子どもを育てながらも仕事をすることができるように子育て支援策や労働環境整備なども進められてきました。
3.急速な少子高齢化に対する迅速な対策が必要になる
戦後間もない時代は、病気やけがで死亡する人も多くいましたが、医療技術や薬、医療機器の進歩により、健康な体で長寿を保てるようになってきました。
その一方で、想定外のスピードで高齢化が進み労働人口が減少し続け、一人暮らしの独居老人や高齢者が年々増えているのが現状です。
医療がどれだけ進歩して日本人の男女とも平均寿命が延びていても、年齢を重ねることによる老化現象や身体機能の衰えは誰にもストップさせることはできません。
高齢になれば個人差はありますが、いずれ誰かに介護を受けながら日常生活を手助けしてもらうことが必要になってきます。
このような高齢社会に対応するため2000年から施行された介護保険制度は改定を重ねながら現在に至っています。
介護保険制度の制定により、以前は行政が主になって担っていた社会福祉サービスを、民間事業者も参入できるようになり、現在では高齢者向けの多様なサービス提供が可能となっています。
4.介護・福祉分野の動向と今後の介護・福祉職
介護保険サービスの利用者は年々増加しているので、民間の介護施設や居宅訪問介護事業者が増加し、介護・福祉職の人材不足が続いていますので、就職では求職者に有利な状況です。
特に超高齢社会真っ只中にある現在では、介護・福祉分野の将来や職種に関して注目が集まっており、介護・福祉分野への就職を希望する方にとっては有意義な時代です。
医療的ケアに関してもALS(筋萎縮性側索硬化症)難病患者に限定して在宅で行っていた「たん吸引」を、この病気以外の患者にも介護福祉士などが行えるように介護職員実務者研修制度が制定されました。
介護福祉士国家試験についても、実務経験3年以上あれば介護職員実務者研修を修了すると実技試験が免除され、筆記試験に合格すれば資格が取得できるようになっています。
介護保険制度が始まってからは、介護・福祉職の資格制度や職務範囲も大きく変わっています。
また、現状の少子高齢社会は将来数十年に渡って進むことが想定され、労働人□が減少していくことは避けられない状況であり、介護職・看護職は、ますます専門化が進んでいくと考えられます。
IT化やロボット化が進むことで、事務作業や現場介護職の負荷は軽減されていくと予想されますが、介護・福祉に関わる専門職としての重要性や必要性は時代が変わっても大きく変化することはありません。
介護職の処遇改善が進みロボットの導入も進んでいけば人材不足も解消され、将来人気の職種になる可能性もあります。




