生活援助の範囲について

自立支援以外の援助まで頼まれた場合どうすればよいか

 訪問介護時のホームヘルパーが業務上で悩む事の一つに、介護サービスの契約外の行為や介護保険で定められていない行為を利用者や家族から依頼されることというケースがあります。

特に生活援助については以前から問題になっています。

「生活援助(家事援助)内容について一定の基準を定めるという考えは、厚生省が2000年当時に提示していました。

要介護者の自立支援となる介護行為が家事援助の本来の目的であり、同居する家族の調理・洗濯を一緒に行ったり、庭の雑草を除草したりする行為は家事援助に該当しないとしていました。

 なので、厚生省の指針に基づき具体的な介護サービス内容を介護事業者は決定していますが、ホームヘルパーが実際に訪問先へ行くと、「これもついでにやってもらえないか」などという依頼が利用者から出されるケースも多々ありました。

利用者から頼まれても「できないです」としかホームヘルパーは返事することしかできず、それを言ったばかりに利用者から「サービスが悪い、冷たい、態度が悪い」など誹謗中傷されてしまうケースもあるわけです。

しかし、これはホームヘルパーからすると耐え難い状況です。

利用者によって自立支援の定義は異なる

 利用者が理想としている生活は個々により異なるので、自立支援に繋げるための生活援助も同様に異なってきます

例えば、老夫婦の場合、「要介護者である夫が妻と楽しみながら日々の会話をするのが唯一のやすらぎだ」という方がいるなら、ホームヘルパーが妻の分の調理や洗濯を支援することで時間に余裕ができ、利用者とじっくり会話することで本人の自立支援に繋がっているのではという意見もあります。

形式的に基準を設定するのは、現場の実態とズレが生じて本当に意味での自立支援に繋がらない場合もあります。

 介護事業者の中には、これらの状況を改善するために定期的に現場の意見を聞き、収集した情報を全体会議で検討して見解を示したり、事例を蓄積してデータベース化し、ホームヘルパーが現場で直面した相談内容に的確に対応できるような仕組みを構築している事業所も見受けられます。

介護士が独断で判断せず、上司に報告し情報を共有化する

 実際の介護現場で、ホームヘルパーが上記のような問題に直面した場合、利用者への対応方法としてはどうすべきでしょうか。

利用者から無理難題を頼まれた場合、「できません」と単に返事をするのではなく、「一度上司と相談してからお返事します」と回答するのが、通常最も無難な対処方法だと言えます。

その後、ケアマネジャーや上司、家族などに利用者から頼まれた内容を伝達し、どうすればよいか話し合うことが一番望ましい対応方法といえるでしょう。

要は、利用者に関わっている介護者や家族と問題・情報を共有化することが重要で、介護士本人だけで悩む必要はありません。

 ホームヘルパーでも業務経験の長い方の中には、利用者からの頼みに対し「ちょっとくらいならやってあげよう」と自分で判断してしまうケースもあるようですが、このような行為を親切心であっても繰り返していると、だんだんと利用者の要望がエカレートし、対応しきれなくなる恐れもあります。

ここまでエカレートしてからでは簡単に断れなくなり、「もうできません」などと言った場合、「前はできてなぜ今はできないのか」などと追及され、返って利用者との信頼を失くすことにもなりまねません。

利用者からの信頼を長く保つ為にも、一時の雰囲気で簡単に返事をするのではなく、契約上できない行為であれば、まず要望された情報を上司に報告するということを常に意識しておくことが必要です。

ホームヘルパー個人で勝手に判断し行った行為が、その後大きな問題に発展する可能性も考えられるからです。

生活支援の介護現場で発生しやすい問題事例

問題事例 考え方
利用者の家族の分の洗濯・調理まで頼まれる

本来の目的は「利用者の自立支援と生活の質向上」ですが、利用者から「もっと家族と接したい」という要望があった場合、家族は高齢になっており洗濯や調理をするにもかなりの労力が必要という状況では、できないと一言で否定できない側面もあります。

年末の大掃除を手伝ってほしいと頼まれる

利用者からは、季節がらということで頼まれるケースもよくありますが、契約以外の内容については、事前に事業者とホームヘルパーとの間で事例などを基に整合性をとっておく必要があり、利用者ごとに対応方法を決めておくことが望ましいと言えます。

庭の草むしりをやってほしいと頼まれる

利用者の生活の質を向上させることとは無関係のように見えることでも、「きれいな庭を眺めると落ち着きリフレッシュできる」という利用者の要望であれば、生活援助の理念に合致している側面もあります。

表面的な観点ではなく利用者にとって何が必要かを深堀することも必要です。

  • 食器棚を整理してほしい
  • 孫の結婚祝いのプレゼントを買ってきてほしい
  • DVDを借りてきてほしい
  • 花壇に水を撒いてほしい など
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