高齢者や障害者の心理状態と介護職における最適なコミュニケーションとは

介護職が知っておきたい高齢者の心理状態

 高齢になると自分が想像している自己認識と、現実で感じる心身の変化や衰えとの差に直面し、ショックやむなしさを覚えるようになるため、介護職は高齢者の心身の状況や性格を見極めながら適切に接することが求められます。

高齢者自身は、まだ自分はできると思い込んでいる

 誰でも同じですが、自分は年寄りで無力だなどと自覚し容認することを、当然のようには受け入れがたいものです。

ほとんどの方が、自分はまだ何でもできると思っており、実際にもそのようにありたいと考えているものです。

ですが、実際は個人により程度の違いはありますが、年齢を重ねれば身体は青少年時代のようには動かせなくなり衰えてくるのが現実です。

 また、身体機能に大きな衰えがなくても、会社を定年退職したり、年金支給が始まったり、交通機関の高齢者割り引きなどが利用できたりすることで、社会的な扱われ方の違いを実感し、自分は高齢者なんだという現実を外部圧力として認識させられることになっていきます。

 このようなことから、介護職が高齢者とコミュニケーションを取る場合、利用者の「まだ自分はできる大丈夫」というイメージと、「体力の衰えや変化、社会からの扱い、家族や周りからのもう無理せずに」という現実との差を理解し、高齢者が虚しさを感じ精神的に落ち込まないように配慮しながら接することがキーポイントになります。

老後を前向きに生きて行けるような援助が必要

 高齢になると、定年退職により地位・収入・仕事がなくなり、子どもの一人立ち・家族や友人などの死により、人との関わりや心の支えも少なくなり、経済的・精神的にも人は多くのものを手放す状況に追い込まれます。

また、病気になったり障害などを負った場合は、行動の自由も奪われることになります。

このように虚しさを痛感し心の拠り所を失った場合、特に高齢者は体調不良になったり、精神的に不安定になり、うつを発症する方もいます。

 高齢者は多くのものを失いますが、これを責任などの重圧から開放され、やっと肩の荷が下りたというように受け止め、生活や人間関係において新たな人生の出発点として前向きな考えで生きていけるような観点で、介護職は援助・サポートを行う必要があります。

高齢者の性格の変化と傾向

 高齢になると個人により違いはありますが、性格には概ね下記のような特徴が表れます。

  1. 自己中心的になる
    自分の価値観・人間観・物のとらえ方に固執し、柔軟性がなくなり見識や視野が狭くなる。
  2. 保守的になる
    今までの習慣や考えにこだわり、新しいことや変化することに抵抗を強く感じる。
  3. さい疑心が強くなる
    聴覚・視覚の衰えで現状認識が曖昧になり、自分の想像や印象で解釈するため身構えてしまい、疎外感を覚え不安な気持ちを強く抱くようになる。
  4. 心気症の兆候が強くなる
    自由な時間が多くあり高齢という現実も重なり、自分の体の異常や変調を過度に気にして健康状態や病気などを過度に恐れるようになる。

コミュニケーションは高齢者の性格の変化に合わせて対応

 現役でバリバリ働いていた頃とは違い、心身機能や能力の衰えが高齢者の性格変容に大きく影響しています。

介護職が高齢者と会話する際に配慮すべきポイントは、顔や目を見て話す、同じ言葉を繰り返して話す 、大切なことはメモするなどで、この3点に注意してコミュニケーションを取るだけでもかなり円滑に会話を進めることが出来ます。

 また、視力が悪い高齢者にも配慮し、施設内での表示・標識は字を大きく認識しやすいようにし、聴力が低下し聞こえにくい高齢者も多いため、老人性難聴の場合は、低周波数帯は聞き取りやすく、高周波数帯は聞き取りにくいという特徴があるので、なるべく低い声で話すように配慮するなどの工夫が必要です。

大きな声を出すより、言葉をハッキリと発音し、話す話題や内容は一つずつ区切りをつけて会話するように配慮するだけでも、聞き間違いや勘違いによる思い込みを減らすことが出来ます。

介護職が知っておきたい障害者の心理状態

 障害を持って生まれてきたのか、途中で障害を抱えたのか、また、その種類や重篤度によって、障害者本人の受け止め方が異なるため、社会生活で被るであろう不利益の程度にも差が生じます。

介護職が障害者介護を行う場合は、このようなことを理解し配慮しながら手助けすることが求められます。

一般的な障害者の心理特性とは

障害者個人によって異なりますが、障害者には次のような心理的特徴が見られるようです。

  1. 社交性がない
    外出する機会や対人交流も少なく、社交性や社会性が乏しくなり、自己中心的・孤独に陥りやすい。
  2. 依存心が強い
    周囲の人間が過度に手助けする傾向にあり、依存性が強くなりやすい。
  3. 不満を抱えやすい
    自分の考えや感情をスムーズに伝達できずストレスや不満を抱えやすくなる。
  4. 受容性がない
    後天的に障害を抱えた方は、現状を受容出来なくなる。
  5. 不安感を覚えやすい
    今後の人生に不安を抱きやすい。

障害者の心理と特性に合わせたコミュニケーション方法

視覚障害者の心理と接し方

 視覚障害者の心理的特性で共通しているのは消極的、引っ込み思案で、後天的に失明し場合、不安感・恐怖感・緊張感が大きく依存心も高まる傾向があります。

また、積極性を出そうとし度が過ぎると攻撃的になる場合もあり得ます。

 視覚障害者の歩行介助などを行う場合は、「5歩先に階段がある」「右側30cmに側溝がある」など、具体的な言葉で伝えます。

また、介助する場合は、先に何をするかを説明して本人が理解してから行うようにします。

聴覚障害者の心理と接し方

 聴覚障害者の場合は、外見上からは障害があることが分かりづらく、周囲に理解されないことで悩むことがあるという点が心理的特性と言えます。

  • 消防車や救急車のサイレンが聞こえない
  • 後方からの車のクラクションが聞こえない
  • 事故など緊急事態の案内音声が聞こえない
  • 宅配などのインターホン音が聞こえない
  • 後方からの自転車のベル音が聞こえない

 このように、外見上は健常者と間違われ、実生活上の不利や不便が他人に理解されない場面が多くあり、困惑するのがます。

後天的な聴覚障害者と話す場合は、顔や目を見ながら口をハッキリと大きく開けて言葉をゆっくり表現すると意味を読み取れる方もいます。

聴覚障害者は、視覚からのイメージや表情や雰囲気で感じ取る場面も多いため、大切な内容は要点をまとめ具体的に必ず筆談で伝え確認するようにします。

言語障害者の心理と接し方

 言語障害者の心理的特性は、自分の考え・思い・感情・意志を相手に上手く表現できず、ジレンマや苛立ちからストレスで不満を抱えがちになるという点です。

言語障害が起こる要因には、麻痺による機能障害、聴覚障害、言語発達障害、失語症、吃音などが考えられます。

言語障害者と接する時は、伝えようとしていることに対し、しっかりと聞いているという姿勢や態度を示すことが大切です。

知的障害者の心理と接し方

 大脳の発達障害により、麻痺やてんかんなどの知的障害は発生し、これが原因で情緒障害などを発症する場合もあります。

知的障害者と接する場合は、噛む砕いて簡潔な言葉でわかりやすく話す工夫が必要で、知的障害者の程度や状況に合った伝え方をします。

障害を受け入れるまでの心理的過程

 通常、次のような過程を踏んで障害が受容されていくと言われています。

  1. 衝撃
    自分では障害が残るということを認められないし納得できない状態。
  2. 期待
    リハビリテーションが進んでいくと、前の健康な状態に戻れるのでないかと期待している状態。
  3. 悲嘆
    の健康な状態には戻ることができないという現実を直視し絶望感を抱いている状態。
  4. 努力
    現実を一旦受け入れ、適応できるよう努力していく決意を固めた状態。
  5. 受容
    障害を抱えた自分の現状を、そのまま受け入れることができるようになった状態。
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