介護職が利用者から相談を受けたり助言・指導を行う際の技法・ポイントについて

相談は,相談面接・(⇒150頁参照)の形式をとる場合を前提として,そのプロセスが考えられてきました。
また,助言や指導の技法も同様に,相談面接の形式をとることを念頭に開発され,教育や訓練が継承されてきています。一方で,相談面接の形式をとらない面接として,従来から生活場面面接・(⇒150頁参照)などの方法も示されてき
ました。
介護職のコミュニケーション技術として相談・助言・指導の技法を理解するには,相談面接や生活場面面接の方法・考え方をどのように介護職の技能に活かすことができるのかという視点と,利用者やその家族からみて,どのような相談・助言・指導が必要とされているかという視点の両方からみることが大切です。

 

 

@身近な相談相手としての介護職の役割
介護職が利用者の相談を受ける場合は,問題や課題の解決を目的としたものだけではありません。
身近な人にだからこそ伝えられる戸惑いや不安,心配,気づきなどを「日常のなかの非日常」ともいうべき何かの機会に表し,伝える場面でもあるのです。
 このようなとき,利用者は,自分の内側にあるちょっとした違和感,そのままにしておいても場合によっては時が解決してくれるようなことでありながら,気になる思いが続いている状況にあります。
したがって,このような場面での相談は,問題や課題を見極め,解決することではなく,コミュニケーションの過程で話し,伝えることによって,問題や課題になることを防いでいるとも考えられます。
 人は,自分のなかに違和感や焦り,収まらない怒りや寂しさ,気がかりなことや心配事などを感じて,自分一人で思い詰めていると具合が悪くなりそうだと思うとき,誰に相談したいと思うでしょうか。
やはり最も身近にいる人ではないでしょうか。
 介護職は,利用者が自分の思いや状況を問題や課題として認識したり,周囲の人が問題に気づく前の[よくわからないもやもやした状態]のときに自然に思いを表現したりすることを促し,それを受け止める役割を果たしているといえます。

 

 

A介護職に求められる相談の技術
 相談面接では,相談の目的,継続回数の予測,面接の頻度と1回の長さを明確にしておきます。
1回の相談で終了する場合ももちろん多いのですが,継続することに意味をもたせる場合もあります。
 一方,介護職が利用者の相談を受ける場合は,さまざまなコミュニケーション技術を集約し,総合的に活用する場合がほとんどです。
つまり,介護織には,利用者のニーズや意向を適切に把握したうえで,相談面接技術を踏まえ,「話を聴く技法」「感情表現を察する技法」「納得と同意を得る技法」「意欲を引き出す技法」などを総合的に組み合わせて活用する技術が求められます。

 

 

 

表3-8 ● バイステックの7原則
@個別化
一人ひとりの利用者が,遺伝や環境の因子に基づいた,あるいは人生経験に基づいた独自性をもった個人であるとして迎えられる権利とニーズをもっていることを的確に認識し理解すること。

 

A意図的な感情表出
利用者の抱える問題が部分的または全体的に情緒的なものであるときに,そのような感情を表現したいというニーズをもっていることを認識すること。

 

B統制された情緒的関与
利用者が自分の感情に対して,援助者から適切な反応を受けたいというニーズを持っていることを認識し、理解すること。
C受容
利用者は,生まれながらにして尊厳と価値をもっているという認識をもち,利用者にこのようになってほしいと望むのではなく,利用者を現実のあるがままの姿で把握し,接すること。

 

D非審判的態度
自分の役割について,利用者を非難したり問い詰めたりすることではなく,援助することであると自覚すること

 

E利用者の自己決定
利用者は問題解決の方向などを自分で決める権利とニーズを持っていることを認識すること。

 

F秘密保持
面接のなかで明らかにされる秘密の情報を他人に漏らさないこと。

 

 

 

B相談を受ける際の原則
 バイステック(Biestek,F.P,)は,ソーシャルワーカーがクライエントに個別にかかおる際の実践原則として7項目を示しています(表3-8)。
これは介護職の守るべき原則ということもできます。

 

 

C利用者・家族に対する助言・指導
 社会福祉士及び介護福祉士法には,介護福祉士の業務として,利用者およびその介護者に対して介護に関する指導を行うことが明記されています。
例えば,利用者の家族が自己流の考え方や方法によって介護を行っている場合,その方法では,明らかに利用者の状態を悪化させてしまっているようなとき,または家族介護者白身のからだに大きな負担を与えてしまっているようなとき,介護福祉士には専門的な知識や技術に基づき,正しい方法を助言したり指導したりする役割があります。
 しかし,家族にしてみれば,何度も工夫を重ね,最もよいと判断して行っている方法について,「それは誤っています」「このように行うべきです」などと言われると,まるで責められているように感じたり,場合によっては,これまでの自分たちの取り組みが台なしになるように思われることもあります。
 したがって,家族に対して助言や指導を行う場合は,その方法をすぐに否定したり,訂正したりするのではなく,まずは,どうしてそのようにしているのか,その方法に至った過程を考えてみることが大切です。
そのことによって,利用者に対する家族の思いや家族の強みに気づくことができ,家族の考えや方法を尊重しながら,よりよい方法を見出していくことにつながる可能性もあります。

最短・最安で介護職員初任者研修の資格を取得できる具体的手順をご紹介しています。

最短1ヶ月+最安で介護職員初任者研修を取得する!

関連ページ

コミュニケーションスキルを習得する意味|介護職の対人スキル
介護職がコミュニケーションスキルを習得することの意味と役割について解説しています。
コミュニケーション過程・伝達方法|介護職の対人スキル
介護現場におけるコミュニケーション過程や環境、相手に意思を伝える伝達方法などについて解説しています。
話の聴き方|介護職の対人スキル
介護職が現場で利用者の話を聴く際の技術・方法・ポイント・注意点などについて解説しています。
感情表現を察知する|介護職の対人スキル
介護職が現場で利用者の感情表現を察知する技術・方法・ポイント・注意点などについて解説しています。
納得・同意を得る|介護職の対人スキル
介護職が現場で利用者から納得・同意を得る技術・方法・ポイント・注意点などについて解説しています。
質問する|介護職の対人スキル
介護職が現場で利用者へ質問する際の技術・方法・ポイント・注意点などについて解説しています。
意欲を引き出す|介護職の対人スキル
介護職が現場で利用者の意欲やヤル気を引き出すための技術・方法・ポイント・注意点などについて解説しています。
お互いの意向を調整する|介護職の対人スキル
介護職が利用者と家族の意向や意志を間に立って調整する為の技術・方法・ポイント・注意点などについて解説しています。

 
初任者研修の
資格取得方法
初任者研修の
講座を徹底比較
全国の初任者研修
開講スクール
介護士の
仕事と役割
介護士の実務内容
と基本技能
ページトップへ戻る