褥瘡・痰吸引・咳の抑制・摘便などに対する介護職の医療的ケアのポイントや注意点について

医療と介護の境界線

 重い病でも病状が比較的安定した患者の場合は、介護保険が施行されてからは、自宅で介護を受けるケースが多くなってきました。

勿論、介護ヘルパーの訪問先でも、治療のための対応を受ける人は増えることになると思います。

以前は痰の吸引、外傷のガーゼ取り換えについては医療的な処置でしかないので、ドクターやナース、且つ、ふさわしい講習を受けた当人と身内の他は実施できないという決まりになっていました。

ですが、一番身の回りのお世話を行うことの多い介護ヘルパーの場合、医療的な業務のみを完全に切り離して仕事をするというのは無理があります。

要介護者やその身内をサポートすることを考えるなら、医療行為の知識や具体的な実施方法を理解しておくことは勿体必要になります。

褥瘡(床ずれ)の対処・予防法

 褥瘡(床ずれ)の処置は、医療行為の一つであることを念頭に入れて手当を行う必要があります。

褥瘡(床ずれ)が起こる原因

 利用者は高齢であるため、一旦褥瘡になってしまうと簡単には治りません。

なので、介護職は利用者が褥瘡(床ずれ)にならないように、日頃から予防的な観点で最善の注意を図る必要があります。

また、床ずれになる要因としては次のようなことが主に考えられ、共通して言えることは肉体が衰えて弱っていると、褥瘡になりがちです。

寝たきりや麻痺などの状態に陥っていることが原因で、何日間も同じような態勢を続けていると、身体の一定の部位が圧迫され続けることが要因となり、血行不良が起こります。

ベッドに敷かれている敷布やパジャマにシワがある場合も、皮膚の一部分が擦れたり圧迫されたりします。

排せつ物が長時間溜まったままのオムツや何日も入浴ができなかったり、下着を履き替えなかったなどの場合も、それが原因で下着が不潔になり、皮膚への過剰な刺激となり炎症を起こしたりします。

以上のようなことが切っ掛けとなり、褥瘡(床ずれ)に進行していきます。

褥瘡(床ずれ)の症状

段階 症状
初期 赤み
(圧迫発赤)

皮膚が赤みを帯びていますが、今なら皮膚表面をきれいな状態にし、血行をよくするために軽くマッサージをすることで、重篤な状態になることを防ぐことができます。

中期 水泡

水泡が出来ている場合、つぶすのは避けた方が無難で治癒しやすいと言われています。

寝返りや姿勢を変える時、着替えを行う際に傷がつかないように注意を払います。

末期 びらん

潰瘍

皮膚がただれたり(びらん)、ひどい場合は組織の奥深くまで傷が及び細胞が壊死したり(潰瘍)、骨が皮膚表面を突き破ったりします。

特に栄養不足や体が衰えて弱っている高齢者などは、細胞組織の再生能力が衰えているので、さらに悪化する危険性がUPし、オムツなどが原因で二次感染する可能性も高くなります。

褥瘡(床ずれ)の予防法

 褥瘡(床ずれ)になってからは医師や看護師が行う医療処置になりますが、なるまでの事前予防は介護職やホームヘルパーの重要な業務の責任範囲になります。

清拭や入浴などの介助を行う際には、利用者の皮膚状態をよく観察し、赤みを発見したらすぐに改善できるように対処しておきたいものです。

目的 対処法
血行保持 まず態勢を変えるなどを幾度となく実施することが大切で、按摩は血の巡りをよくするわけですが、赤みを帯びている箇所や外傷が起こっている部分は避けるようにします。
乾燥防止 布団や枕は、こまめに日に照らすなどを行います。 敷き布団を直接畳に敷いて使用しているのであれば畳の上にすのこを置きその上に布団を敷くことで通気性が高まり蒸れを防ぐことが出来ます。
清潔保持 下着やオムツが汚くなったらすぐに新しいものに取り換え、身体を拭いて汚れを落としたり入浴をたびたび行い清潔な状態を維持できるようにします。
栄養摂取 食事は高タンパクでビタミンもバランスよく豊富に摂取できるように考えます。
予防具活用 何種類もの予防具が販売されていますので、利用者の床ずれの状態に適したものを取り入れるのは当たり前として、さらに身近にあるものも活用できるように工夫を凝らします。

痰や分泌物の吸引方法

 高齢になると痰などが喉に絡み付きやすくなり、誤嚥になる危険性も高くなります。

寝たきり状態においては痰が気道内で詰まることも多く、咳で排出する力が衰えている場合は息がつまってしまう可能性も高まります。

 現在、介護ヘルパーが医者や家族が実施している痰吸引などをサポートするには、医療的ケアなどの研修を受講修了し、実地研修を受けなければ業務として行うことはできません。

援助方法としては、利用者に十分な水分補給を行い喉を乾燥させないようにすること、また、痰を吐き出しやすいように軽く背中を叩くなどの方法があります。

患者に声掛けをしたり、顔の表情などをこまめに観察し苦しんでいないかなどに注意することも大切です。

せきを抑制するための吸入方法

 咳する回数を減らしたり、気管を広げるために、医師から処方された液薬や生理食塩水をミスト状にして吸引させるようにします。

但し、長い時間、開口した状態のままでいるのは、苦痛と不快感を伴います。

要介護者が不機嫌になったり途中でやめることがないように、様子を見て声かけを行ったり、吸入の重要性を分かってもらえるように説明し、吸入の最中や終わりには容態が悪くなったりしていないか、しっかりと観察を行います。

便秘予防が摘便サポートには一番効果的

 寝たきり状態や行動量の多くない高齢者は、便秘を起こし易くなります。

浣腸や下剤を普通に使用することができない状態にある高齢者には、便を指でかき出すという処置を行うケースも少なくありません。

しかし摘便は医療行為にあたり介護職が行うのは原則禁止ですが、看護師などが摘便を行うことになる前や実施後の援助は可能です。

まずは要介護者に便秘が起きないよう水分補給を日頃から心がけ、食事も繊維質の食材を摂れるように配慮します。

また、腸の運動を助けるために腹部マッサージをしたりするのも効果的です。

摘便前には服を脱がせ、最中には状態観察を行い、終了後はお尻を洗ったり服を着せたりなどのサポートを行います。

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