介護職が感情表現を察知する技法・ポイントについて

感情表現の得意・不得意の傾向を把握する

 人の感情には喜怒哀楽がありますが、自分の感情を表現する場合、上手く表現できる感情と表現できない感情があるものです。

感情表現が豊かだからと言って、全員が喜怒哀楽など全ての感情を上手く表現できるとは限りません。

 喜び・満足感・楽しさ・うれしさ・嘆き・悲しみ・つらさなどの感情表現をする場合、得意・不得意がある人も中にはいるものです。

介護職員は、このような利用者の感情表現の傾向も把握しておくことで、的確に利用者の気持ちを汲み取り、効果的な介護に繋げることも可能になります。

また、利用者の気持ちを受け止め共感を得て、利用者にしっかりと自分の思いを伝え応答するには、介護者自身の感情表現の得意・不得意の表出傾向も把握しておくことが大切です。

共感するとはどういうことか

 一見すると同情と共感はよく似ているように思いますが、視点が全く違います。

同情は自分の価値観や考え方から利用者の気持ちを推し量りますが、共感は利用者の立場で思いや感情を能動的に共有しようとするものです。

介護職にとって共感することは、介護を行う上でとても重要な態度であり、共感する意味や方法について理解しておくことは必要です。

共感する場合のポイント

 共感する場合のポイントは次の2点です。

  1. 利用者の状況や立場に心や身を置いて、利用者の心の内の思い・感じ方・考え方・感情などを心情で理解し論知的に理解する。
  2. 利用者が経験したことや言動の背後にある内面に抱いていた本心や感情を利用者にフィードバックし伝える。

共感の2つの技法

基本的共感とは

 共感の基本的な方法で、利用者の話をよく聴いて内容を理解し、利用者の気持ちや感情を受け止め、内容もしっかりと理解しているということを介護職員自身の言葉で表現し応答する方法です。

基本的共感の具体的な方法は、利用者が話す言葉を聴く際に、利用者が心に抱いている感情と、その感情を引き起こさせた理由の2つを個々に把握し、理由と感情を対にして再度フィードバックして返答してあげるというやり方になります。

理由と感情の表現方法ですが、「理由○○だから、感情○○なんですね!」というパターンで表現し、理由は状況・出来事、感情はうれしい・楽しいなどです。

 基本的共感の事例として、介護職員と高齢者の多恵さんとの会話では次のようになります。

利用者の多恵さん:
「私の子供は仕事や子育てや家事の合間を見つけて施設を訪問してくれます。」

介護職員:
お子さんたちが、わざわざ遠方から忙しい中でも多恵さんに会いきてくれるのは、多恵さんにとってすごく心の支えになりうれしいことと思いますね。」

赤字が理由緑字が感情になります。

深い共感とは

 基本的共感より、利用者の心にさらに一歩踏む込んで、利用者が言葉などで表現していない、内心に秘めた深い感情や思いと、その感情や考えが生まれた理由や原因についても察知し、利用者に分かりやすくフィードバックして返答してあげるというやり方になります。

深い共感の事例として、介護職員と高齢者の雅子さんとの会話では次のようになります。

雅子さん:
「昨日、8年ぶりに娘が訪ねてきてくれたんです。」

介護職員:
「入居以来訪ねてきてくれなかった娘さんが会いに来られて,本当にうれしい1日だったでしょうね。」

雅子さん:
「以前は、昨日のような笑顔で接したり、優しい言葉をかけてくれることはなかったんです。」

介護職員:
「やっと娘さんとお話しになれて、うれしさと同時に心のわだかまりも雪解けしたような…」

雅子さん:
「本当に、長年の心のしこりが全て洗い流されたような気分です。」

介護職員:
「娘さんも時間の経過と共に、親への考え方や見方も徐々に変化し子育ての苦労も理解できる年齢になり、感謝への気持ちに変化しているのかもしれませんね。」

雅子さん:
「また会いに来てくれるそうなので、次は以前に娘が抱いていた本心や気持ちをじっくり聞いてよく話し合ってみます。」

 このように深い共感は、長い人生経験において多くの出来事と遭遇してきた高齢者にとって、再度人生を振り返り、大切な家族や友人などとの人間関係を以前の良好な元の状態に戻したり、長年心に抱え続けていた、わだかまり、しこり、葛藤などを清算し解消することを手助けする役目を果たせることもあります。

介護職員が深い共感を示すことで、利用者は、自分の気持ちを本当に理解してくれる人がいるんだという実感を得ることができ、その時の感情は、しっかりと記憶に留まるので、大きな安心感ややすらぎに繋がります。

実際の介護現場では、このような深い共感は、自然と行われているケースが多くあります。

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