介護職が担う家事援助の目的と原則、衣服の働きと洗濯表示記号の見方について

介護保険法に基づく家事援助の目的と内容

 利用者の日々の生活をサポートする上で、介護サービスの中でも特に家事援助が基本となり、個人の家庭に入り込む事になるため、利用者やその家族との信頼関係を築くことが大切になります。

家事援助の内容

 家事に関する援助には、買い物・料理・調理・掃除・洗濯などがあり、これ以外にも、通院介助、薬の受け取り・各種公共料金(電話・水道・ガス・電気など)に関する支払い・預貯金の引き出し・年金の受取り・市役所・郵便局での各種手続きなどに関する代行などの業務も含まれます。

家事援助の目的

 家事援助の目的には、次のようなことが考えられます。

1. 一人でも生活できるようにする

 少子高齢化により核家族化が進み、高齢者夫婦だけで暮らす家庭が多くなっており、いずれ配偶者が亡くなれば、残りの人生は一人暮らしになる可能性もあります。

このことから、家族単位を基本にしたサービス提供ではなく、高齢者が一人になっても地域で安全・快適に生活できるような援助が必要になります。

2. 自立意欲を促す

 介護職は家政婦のように家事の全てを援助するのではなく、利用者自身が自立出来るようにするための切っ掛けとして活用してもらえるよう働きかけます。

3. 生活の質(QOL)の向上を図る

 生活の利便性を向上させるだけの目的で家事援助があるわけではなく、利用者の人生が豊かになり、喜びを感じながら生きていけるような援助を行う必要があります。

4. 能力や可能性を伸ばす

 現在、障害や事情を抱えていても、残存能力を生かして自分で出来ることを増やしていける可能性は大いにあります。

日常生活を直接支える家事援助であるからこそ、利用者に希望を持ってもらえるよう援助していくことができます。

5. 社会との交流を促す

 介護を要する障害者や高齢者は殻に閉じこもりがちですが、ホームヘルパーは一般社会を通じて活動しているため、社会の出来事や話題などの情報を話したりすることで、利用者と社会との仲介役となれます。

6. 家族負担を軽減する

 少子化・高齢化により核家族化が大きく進展している日本社会で、家族だけで介護を行う場合の負担は計り知れないほど大きく、現実的には無理があります。

ホームヘルパーは、利用者支援だけでなく、家族の負担を軽減するという大切な役割も担っています。

家事援助の原則

 家事援助の原則には、次のようなことが考えられます。

1. 利用者との信頼関係の構築

 深く個人の家庭事情に関わる家事援助は、相互信頼がなければ成り立たない職種です。

2. 利用者の生活習慣や意思を尊重する

 高齢者は長年の人生で培った習慣や価値観を持って生きています。

介護職は、自分の意見・常識・価値観を押し付けず、まず利用者の態度や考えを尊重することが大切です。

3. 必要なことのみ援助する

 過度な援助は、利用者の残存能力や自立できる可能性を奪います。

利用者にとって本当に必要な援助は何かを見極める能力が介護職には必要になります。

4. 秘密厳守の徹底

 利用者の個人情報や家庭のプライバシーに深く関わり、知り得る状況にある家事援助を行う介護職には、守秘義務は必須となります。

衣服に関する家事援助の内容と目的

衣類が果たす役割

 障害者や高齢者などが着用している衣服には保健的・社会的な観点での役目があります。

  • 保健的な働き:
    身体を保護し発汗や保温などの生理作用を助ける働きがあります。
  • 社会的的な働き:
    ファッションやおしゃれなどで自己表現したり、自分の立場や意志を主張したりする役割も持っています。

障害者や高齢者にとって着心地のよい衣服とは

衣服に求められること

 高齢者や障害者が衣服を購入する場合に求める要素は主に次の6点ですが、@〜Bは特に大切な要素です。

最近はEのファッション性の優れた衣類も多くなっています。

@着心地がよいこと
A自宅で洗濯できるなど手入れしやすいこと
B安全に脱着できること
C裏地が滑りやすいなど脱ぎやすいこと
Dほころびたり破れたりせず丈夫であること
Eファッション性もよいこと

衣服の形状

 着心地のよい衣服のポイントは、ゆとりや伸縮性があり、手足を動かしやすいよう配慮がなされていたり、すべりやすい裏地で楽に着たり脱いだりできるかなども着心地の良さに関係します。

最近では障害者のために、工夫された多くの衣服が販売され、ファッション性の良いものも多く販売されています。

衣服の素材

 衣服の素材となる繊維には個別の特徴があり、様々な新素材も開発されています。

肌着としては、天然繊維が肌触りや吸湿性のよいものが多く適しており、上着としては、フリースなどの合成繊維がシワにならず軽量で、家庭で洗濯できるものが多く適しています。

素材・使用

欠点

利点

綿・麻 弾力性が少なく、しわになりやすい 洗濯に強く、吸湿性がよい
絹・毛 日光で変色しやすく、アルカリに弱い 暖かく吸湿性がよい
レーヨン 洗濯に弱い すべりや吸湿性がよい
キュプラ
スーツの裏地
すべりや吸湿性がよく、レーヨンと似ている
アセテート
女性服の素材
洋服裏地
レーヨンやポリエステルと混紡使用され、光沢や感触があり絹とよく似ている
トリアセテート アルカリに弱い シワになりにくい
ナイロン 吸湿性がよくない シワになりにくく、軽くて丈夫
アクリル 毛玉ができやすく、熱に弱い 感触は毛に似ている
ポリウレタン 塩素系漂白剤に弱い 伸縮性がよい
ポリエステル 吸湿性がよくない 熱や摩擦に強い

衣服の洗濯表示記号の見方

 消費者庁からの発表によれば、2016年12月より新しく洗濯表示記号が発表されており、ホームヘルパーなど介護職が家事援助で洗濯を行う場合、衣服に表示されている次の3区分の表示と意味については理解しておくことが必要です。

でないと、訪問先で間違った処理をした場合、トラブルの原因になる可能性もあるので、注意が必要です。

洗濯処理の表示

洗濯処理の表示記号

漂白処理の表示

漂白処理の表示記号

アイロン仕上げの表示

アイロン仕上げの表示記号

図表引用元: 消費者庁「新しい洗濯表示(pdf)」より
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