状況
高齢女性の利用者で糖尿病を抱えているのに甘味の多い物を口にしがる人がいるのです。
この方、看護師や保健師から食事や栄養摂取の指導も受け、内容もしっかりと理解しているのですが、指導が終わり、看護師や栄養士いなくなれば、和菓子やアイスクリームなどがほしい、食事の味付けは甘めにしてほしい、など糖尿病が悪化するようなものばかりを要求してきます。
介護は利用者の要望に添って行うのが基本原則ですが、どの程度まで許容すればいいのかわかりません。
対処法
通常、人は欲求を制限されると辛くなりますので、この方は最も身近にいる介護士などに甘えているのだと思います。
要求がエスカレ-トしてくるのであれば、担当医・看護師・保健師などに相談すべきでしょう。
担当医などから、「甘いものばかり食べていると糖尿病が悪化し、視力がなくなる時もあるんですよ。」など、お灸をすえてもらうことも一つの対処法です。
しかし、そうでなければ糖尿病だからといって食事療法に固執するのではなく、生活の質や本人の満足度を優先させる意味で、美味しく好みのものを食べさせてあげるという事でもいいのではないかと思います。
料理をする際にも、全体的に甘めにするのではなく、甘味が薄いものと濃いものを混ぜるなどメリハリをつけると満足感が得られるようです。
このような配分テクニックは、高血圧を予防するため塩分制限が必要な料理でも活用できる方法です。
状況
自宅で家族と一緒に住んでいる高齢女性の方ですが、週2回のデイサービスの送迎を担当しています。
最初の頃は、安心して入浴したり食事も美味しくでき、みんなとおしゃべりもできるので、デイサービスに行くことを楽しみにしていましたが、急に行くのを拒否するようになりました。
理由を尋ねると、行っても意味がない、お金の無駄使いだなどと言われます。
同居家族の方は、デイサービスに行くことで運動やリハビリもでき、気分もリフレッシュできるため、参加させたいと言っています。
また、家族の方も自分自身の時間を作り、外出やショッピングで気分転換できる時間も必要とのことです。このような場合、利用者にどのように話をし納得してもらえるようにすればいいのでしょうか。
対処法
デイサービスに行きたくなくなった原因はすぐにはわかりませんが、ちょっと休みたいだけかもしれませんし、考えられる理由としては、次のようなこともあり得ます。
どこかしら、心身の調子が悪い(病気・故障・骨折や怪我)場合、特に高齢者は症状が表れにくく、家族も本人も気付かないことも少なくありません。
デイサービス内で人間関係の摩擦がある場合は、いくら経験豊富な高齢者でも、ちょっとした行き違いでトラブルになることもあり、当人同士に意図的な悪意がなくとも、人生経験や価値観・考え方が違いすぎると、話が噛み合わずその場に居ずらくなるケースもあります。
なので、デイサービスの担当介護士に施設での本人の状態や様子を尋ねる、時々は一緒にデイサービスに参加し様子を観察するなどの対応を家族に提案してみるのも一つの案です。
また、毎週決まった日に参加するのがおっくうになっている場合もあるので、無理に行かせようとはせず、今週は休んでみますか?などと尋ねてみるのも一つの方法です。
一旦行くのがイヤだと意識し始めると、そのことばかりに意識が集中してしまいますので、一度間隔を開ければ、また気分を持ち直すことができるかもしれません。
状況
在宅で訪問介護を受けている利用者は、家族の方が自宅で痰吸引の処置を行っています。
しかし、家族が用事で外出し不在の時などは、痰が絡むようで、すごく息苦しい様子で、見ているだけでは介護ヘルパーとしてすごく心配にになります。
対処法
喀痰吸引などは医療行為にあたり、原則、ホームヘルパーが勝手にこのような行為を行なうことは禁止されています。
この方の家族が痰吸引ができるのは、医師や看護婦からしっかりと直接指導されを受けているからです。
実際、安全に痰の吸引を行うには、それなりの吸引に関する知識と方法を身に付ける必要があります。
介護職員が喀痰吸引を行う場合は、介護職員実務者研修などの医療的ケアと実地研修を受け研修を修了した介護福祉士であれば業務として喀痰吸引を行うことが可能です。
それ以外のケースでは、無断で介護職員が医療行為をすることはできないため、家族不在時にはどうするかを担当医師や看護師とも事前に打ち合わせしておくのがいいでしょう。
例えばホームヘルパーとして利用者が痰を排出しやすいように援助できる行為には、痰を出しやすくするため背中を軽くたたいて誘導する、うがいや適度に水分補給するなどしてのどを潤すなどが挙げられます。
ホームヘルパーとして利用者の安全に配慮しながら痰を輩出しやすくする為の具体的な方法も知っておくべきです。