介護老人保健施設は、福祉及び医療の2つの側面からサービス提供を行い、利用者が病院から自宅へ復帰し家庭生活を再び送れるように支援を行うという点がこの施設の特徴で、医療機関と家庭との仲介役を担っています。
さらに、家庭復帰をサポートするだけでなく、施設を退所する前や後の指導や自宅に帰ってからも居宅サービスを受けれるようにサポートも行っています。
介護老人保健施設は病院から自宅復帰への橋渡しを行う施設
介護老人保健施設は、利用者が必要とする日常生活上の介助や医療、医学的観点からの介護、看護、機能訓練などを施設サービス計画に準じて実施することを目的とした施設です。
病気が安定期の状態にある利用者が自宅に帰る家庭生活を自立して送れるように支援することを目的に、医療関連スタッフである医師、看護職員、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、介護職員、支援相談員、栄養士などがチームを組んで維持期リハビリテーションに重点を置いたサービスを提供します。
また、在宅で家庭生活を送る際に起こりえる介護に関する問題を解消するために、退所する時に指導を行ったり、退所した後も自宅訪問して指導を行います。
さらに、在宅で暮らすようになっても居宅サービスが必要な利用者には、通所リハビリテーションや短期入所療養介護などの提供も行っています。
このように、利用者の家庭復帰を支援するため医療と生活の場を結びつける通過施設としての役割が、介護老人保健施設にはあるといえます。
介護老人保健施設に入所している方の利用状況を確認すると、特別養護老人ホームの入居者より要介護度は軽い方が多いですが、2013年度当時の入所利用者の中で認知症の状態にある高齢者は約85%を占めていて年々急増しているのが実態です。
施設入居定員数も平成12年当時は約23.35万人でしたが、平成26年には、約35.2万人まで緩やかに増加しているので、求人も適宜行われているようですが、認知症高齢者が多いので認知症に関する専門知識や対応技能は必要になります。
介護老人保健施設の課題と問題点
長期の入所滞在や社会的入院などが介護老人保健施設では問題になっています。
病院から家庭へ復帰できるように支援する橋渡しのような役目が介護老人保健施設の主目的になっていますが、現状は介護老人保健施設と病院を往復し、結局、介護老人保健施設に舞い戻るというパターンが多いというのが実状です。
今も特別養護老人ホームに入所できない待機高齢者数が多い為、介護老人保健施設にも社会的入院や長期間に渡っての入所滞在などの諸問題が起こっています。
このような現状に影響されてか、介護職員一人に対し介護を担当する利用者数が多く、仕事も過酷で作業量も多く、介護職員には大きな仕事の負荷と負担がのしかかっており、大変厳しい職場環境となっている施設があるのも事実です。
介護老人保健施設の利用料の目安
介護老人保健施設、看護職員を配置した療養型介護老人保健施設、ユニット型介護老人保健施設などがあり、要介護度別に施設や居室の種類ごとに利用料は異なっています。
さらに、加算内容には、初期加算、認知症の入所者加算、栄養マネジメント加算、経口移行加算、短期集中リハビリテーション実施加算、リハビリテーションマネジメント加算、居宅おける外泊承認時加算などがあります。
また、減算内容としては、職員欠員減算や夜勤体制未整備減算などがあります。