入浴介助のポイント
自立度の高い利用者に対する入浴介助のポイント・考え方
介護職が入浴介助を行う際、自立度が高い利用者の場合は、自力で入浴してもらうのがベストです。
利用者が可能な部分は最大限に活用して頂きながら、利用者の自立に向けての達成感と自負を必要以上の介助を行うことでそがないように配慮します。
入浴行為を自力でやってみることは、肉体的機能弱化の防止やリハビリにも影響を及ぼします。
湯船のお湯に入って関節を動作させるのは、頭からつま先までの機能健全化のチャンスとなります。
とは言っても、自立度が高い状況であっても、バスルーム・着替え場所での介護の事故を防いだり安全性を保つことへの準備と注意は怠らないようにしましょう。
入浴介助の事前準備について
入浴介助を行う前に介護職は、次のような事前準備を行い利用者の安全と快適性を保てるようにしておきます。- 利用者のコンディションをチェックし、入浴できるかできないかを見極め、利用者の承諾をもらいます。
- もとより部屋の温度(20~24度)、お湯の温度(40~42度)、入浴での必需品は何かを確かめておきます。
- 入浴後の着衣が用意されているかを確認しおきます。
- 入浴前に排尿・排便をすませた後に、脱衣場へ行きます。
- 脱衣場までの移動途中に段差などがあれば転倒し事故に繋がらないように注意します。
- 立った状態で衣服を脱ぐ時は、イスや手すりを活用します。
- 脱いだ衣服は、その場ですぐに畳みかごなどに入れておきます。
- 脱衣場からバスルームまでの歩行距離や利用者の自立度によって介助方法が異なり、必要であれば体を支えたり手引きをして補助します。
- 歩行時には、利用者がバランスを失い転倒しないように注視し見守ります。
- 入浴前に、利用者が使用しやすい場所に入浴用品をセットしておきます。
部分浴介助のポイント
手浴・足浴を行うことの効果
単に手や足を拭くより手浴や足浴の方が、生理面でも気分的にもさっぱりするので要介護者の満足感が充足されるため、体調が万全ではなくてお風呂に入れない時や手足が汚れた時は、手浴介助や足浴介助をするのがベストです。
何と言っても足浴の場合は、足を温かくすることを通して肉体が温かくなり、心身の緊張が解けたように変化して、眠気も誘発します。
血のめぐりが良くない方の場合は、皮膚をキレイにし清潔にするというばかりでなく、足の裏や指先まで刺激されて血液循環をスムーズにさせるという効果が期待できます。
長い期間、仰向けで寝たきり状態の利用者の場合は、背中部分など見えない部分の汚れに気を付けましょう。 介護職は見える部分だけでなく、足裏や指間も丁寧に洗い、利用者が爽快感を感じれるように介助することが求められます。
肌の色・つや・かさつき、湿疹ができていないか、爪の状態はどうかなどを漏れなく確認し、部分浴介助の基本手順に従い介助を実施します。
手浴介助の事前準備について
- 介護職は今から手浴介助を行うことを説明し、利用者の承諾をもらいます。
- 手欲に必要な物品やお湯を用意し快適に手欲できるように準備します。
- トイレに行きたいかどうかの確認後、体調をチェックし状態をつかんでおきます。
- 体調を考慮しながら手浴の順番を決定し、室の温度を適温に調整しておきます。
- 衝立やカーテンを使用し、周辺から見えないよう利用者プライバシー保護に注意します。
- 使用しやすいような場所に必要な入浴物品を配置します。
座った態勢を保持できる方は、洗面所まで車いすで移動したり、ベッドのサイドテーブルを利用したりして自力で手を洗うのも自立という視点からも大切です。
足浴介助の事前準備について
- 介護職は今から足浴介助を行うことを説明し、利用者の承諾をもらいます。
- 足欲に必要な物品や手桶の半分程のお湯を用意し快適に足欲できるように準備します。
- 排泄意思があるかどうかの確認後、心身の状態をつかんでおきます。
- 把握した体調を考慮し足浴する順序を決定し、室内を適温になるように調整しておきます。
- 利用者のプライバシーを守るため、周辺から直接見えないように衝立やカーテンなどで仕切ります。
- 使用しやすいような場所に必要な入浴物品を配置します。
- 足浴は、皮膚が汚れた場合、足が冷えた場合、寒くて眠れない場合、入浴不可の場合などに行うと、心身ともに良い効果をもたらします。
特に血行が良くなるので身体が温まって快適な睡眠をとることができます。
- 座った姿勢ができる方であれば、座った状態で足浴をするのがベストです。
この状態での足浴は、介助バーなどにつかまりながら上半身を安定させた態勢で、短い時間内で足欲できるような工夫が必要です。