破損させたら誠意ある対応が基本
介護現場での物品破損には例として次のような様々なケースが考えられます。
- 洗い物をしている最中に、茶碗を落とし割ってしまった。
- 掃除をしている最中に、額を落として破損させてしまった。
- 料理をしている最中に畳にこぼしシミをつけてしまった。
まず介護士は、利用者や家族に破損させたことを、その時にすぐ報告し、「仕事が一段落してから報告しよう」などと絶対に考えてはいけません。
破損してから時間が経って報告すると、「本当は破損させたことを隠そうと思っていたのでは」という疑いを持ち、利用者側が不信感を抱く場合があるからです。
特に訪問者宅での物品破損などは、最初の対処の仕方が重要です。
利用者に事情説明後、即上司に報告
介護士は、まず誠意を示すことが対応の基本です。
破損させたのは介護士自身の不注意が原因だという事実がある限り、たとえ壊した物が、「少し触れただけでも壊れやすい物だった」、「物が不安定な場所に置かれていた」などという場合でも、責任逃れをするような態度はとるべきではありません。
利用者に破損させたことを報告したら、早急に介護事業所の上司に報告をしましょう。
その後、可能であれば当日に利用者宅へ上司と一緒に再訪問して、具体的な弁償内容を伝え謝罪をするようにしましょう。
通常は、介護士・ホームヘルパーが利用者宅へ訪問した時の事故等に備えて「在宅福祉サービス総合補償保険」をかけている介護事業所が多く、実際はその保険で補償することになります。
金銭で解決しようという態度はタブー
再訪問時に注意することは、強調して「弁償する」という言葉を何回も言わないようにするという事です。
利用者側からすると「金させ払えばそれで済むと思っているのか」と勘違いされ、ますます不快感を助長することに繋がります。
もし、壊した物が大切な家族の思い出の品などだった場合は、利用者にとってお金以上に価値があり、弁償してもらったところで元には戻せません。このような事もしっかり理解しておく必要があります。
このようなケースでは、金銭ではなく誠意を示して償う以外に方法はないわけですが、介護事業者側で可能な限り破損させた物と同じ品を探してくるという「誠意ある行動」で対応することも必要になります。
最近では各事業所ごとに、このようなケースに対応したマニュアルなどが作成され、設置されるところが多くなっていますので、介護士個人の判断で対応するのではなく、上司などと対応方法を十分話し合って行動するようにしてもらいたいと思います。
疑われたら冷静に話し合う場を設定する
他人でありながらホームヘルパーの場合は自宅に日常的に上がってくる存在であるために、何かトラブルが発生すると、疑いの対象にされるということも時々起こります。
よく聞く事例では、「お金を盗んだ」、「物品を破損させた」などという、実際やってもいない濡れ衣を着せられるケースも多々見られます。
このような時も事業所の上司へすぐに報告して、利用者としっかり話し合えるような場を持つことが重要です。
その際、利用者本人だけでなく家族や親族などの第三者で客観的に状況を判断できる人を交えて、冷静に会話ができるような環境を準備した上で話し合いに臨みたいものです。
但し、当事者の介護職員は感情的にならず、あくまで冷静に話し合いをして誠意をもった対応が基本原則となります。