介護職員初任者研修さえ受講修了すれば、介護士・ホームヘルパーとしての知識や技術はある程習得できたと思う人もいるかもしれませんが現実はそんなに甘くありません。
介護研修では正しい方法を教えてはくれますが、現場で接するのは生身の人間なので、全て研修で習った通りにいくとは限りません。
介護士・ホームヘルパーとして最低限必要な基本的技能は、介護職員初任者研修で習得できますが、あくまでスタートラインに立てる程度の内容であると認識しておくべきです。
本当に一人前の介護士になるには、研修後もさらに継続して自分で学び続けていくという姿勢が求められます。
そこで今後、さらに介護技術や知識を向上させていくには、どうすればいいのかということについての考え方や取り組み方について紹介したいと思います。
利用者の思いや気持ちを把握する訓練を積む
まず、障害者や高齢者と関わる機会を積極的に日常から設けることが重要です。
障害者や高齢者と会話したり自然と接したりという機会が多くなれば、健常者と違うから…などという感覚でとらえずに、心理状態や思いをより理解しやすくなります。
利用者の気持ちや心理状態を理解し、信頼関係を築くということは、介護技術の研修だけでは身につけることはできませんし、介護の知識だけで補えるけでもありません。
常日頃の習慣化された積み重ねが一番重要だと考えるべきでしょう。
また、ボランティア活動などを行い、そのような環境に接することも一つの方法ですが、障害者や高齢者と接するのに、そのような特別な活動場所でなければ機会を持つことができないと考えているならそれは間違いだと言わざるを得ません。
障害を抱え援助が必要な人や高齢で身心に問題がある人も、一般社会で自分たちと同じように日々の生活を送っています。
先ほどの「特別な活動場所」以外での公共場所や街中でも、自分が意識しさえすれば、どこにでも障害者や高齢者と接する機会があります。
例えば駅の改札前で、高齢者が切符の買い方がわからず困っているところを見かけることもあるわけです。
そのような場面に遭遇した場合、行き先を尋ねて切符の購入方法を教えてあげるということもでき、その時、高齢者に対して、「不快感を感じるような言い方をしていないか」「分かり易い説明ができたか」などという事について、後で言動を振り返ることもできるわけです。
また、高齢者と同居している人なら、いつもの何気ない会話でも「おじちゃん、おばあちゃんの話をしっかりと聞いてあげる」という姿勢を養うことも可能で、信頼し合えるにはどうしたらいいか、喜んでもらうには何をしたらいいかなどについても学ぶことができます。
結局、場所や環境に関係なく「学ぶ姿勢」があるかどうかという意識が大切です。