食事介助を介護職が行う際の意義と目的とは

介護職員初任者研修の資格を取得し、介護職に従事すれば食事介助・介護は必須の業務なります。

できる限り利用者には自分の手で口から食べ物を摂取してもらうようにしていくことが生活の質の向上(QOL)にも繋がる大切な自立支援になります。

次になぜ口から食べ物を摂取することが重要なのかについて解説していきます。

食事をする意義とは何か?

食べるという行為を行う際には次のような動作が必要になり、感覚器官や身体機能が単独で働いているのではなく、あらゆる機能が連携して食事という動作が成り立ちます。

  1. 視覚(食物を目で確認する)
  2. 嗅覚(食べ物の臭いを嗅ぐ)
  3. 聴覚(咀嚼音を耳で聞く)
  4. 味覚(味わう)
  5. 触覚(手触り)
  6. 手や腕の動き(口まで運ぶ)
  7. 唇の動き(食物を口内に取り込む)
  8. 咀噌(食物をかみ砕く)
  9. 咽頭を通過しやすいように食塊を形成する
  10. 舌を使い咽頭に移送する

このように食物を口から食べるという動作は、身体機能が衰えないように保ち続けるということだけでなく、脳機能を刺激し活性化することにも大きく関係しています。

なので、食事は生活の質の向上(QOL)にも繋がる大切な行為で日常生活を行う動作の中でも一番基本で重要な生活行為と言えます。

口から食べる食事という行為が人の体に与える影響とは?

1.食べることで意識が覚醒し目が覚める

「元の健康な体に戻ったら□から食べても大丈夫になりますよ」と、介護施設や病院では要介護者や患者さんに言うことがあり、点滴や鼻からチューブを入れ栄養補給を行ったりします。

でも本来は、「口から食べるという動作を行うことで健康体を取り戻せる」のです。

人は毎朝目覚めますが、それだけではしっかりと覚醒している状態ではありません。

歯磨きで口中が刺激され、食事で口を動している内に、やっと意識が覚醒してきます。

脳中の網様体という部分が意識を司っています。

食物を咀嚼したり飲んだりする口からの刺激や、目で見る視覚などの刺激が網様体に伝達され、徐々に意識がしっかりと覚醒してきます。

一方、点滴や鼻腔チューブで栄養を送り胃内に最適な量が補給されても、上記のように網様体に刺激が伝達されないので意識は覚醒してきません。

2.内臓が活動し目を覚ます

食事時間になると、「ご飯よ」という掛け声やカタカタという包丁の音、美味しそうな食べ物を見たり臭いを嗅いだりしていると、自然に唾液が分泌されてきます。

さらに食べ物を口に入れて咀嚼し、舌で美味しい味覚を感じることで、もっと唾液が分泌され胃の活動が活発になり消化活動の準備として胃液が分泌されてきます。

胃の次には肝臓や膵臓が活動しだし最終的には腸の蠕動運動に繋がっていきます。

要するに、口から食べ物を胃腸に送るという一連の動作によって内臓全部が刺激され覚醒していきます。

内臓は様々な酵素や分泌物を準備し食物を消化吸収していくので効果的に栄養摂取され、ますます内臓全体が活発になっていきます。

一方、胃痩や鼻チューブでの栄養補給では、口から食べ物が入っていかないので唾液分泌がありません。

よって意識が低いままで消化吸収の受け入れ準備が整っていない状態で突然食べ物が送り込まれることになり、効率的に栄養を摂取しにくくなります。

3.食べることで脳全体が活発になり活性化

食事が出来上がると、良い匂いが漂い鼻が刺激を受け大脳辺縁系の嗅覚中枢へ伝わります。

「ご飯できたよ」という掛け声や食事を準備している包丁など音は耳から側頭葉の聴覚中枢へ伝わります。

食卓に並べられた美味しそうな食物を見ると視覚が刺激され後頭葉の視中枢へ伝わります。

どのおかずから食べようかと選んでいる時や、すごく美味しかったのでまた食べたいと感じている時は前頭葉へ刺激が伝わります。

食物を箸で摘まんで口に運び、咀嚼して飲みこむ動作は前頭葉の感覚野運や動野に刺激が伝達されます。

また口の中に運んだ時に感じる味覚は味覚中枢に伝わります。

以上のように、□から食事をするという行為だけで脳全体に刺激を与え活発化することができます。

毎日3度の食事をすれば、30日で90回の刺激を脳全体に与えることができる計算になり、高齢者の脳を活性化し認知症を悪化させない効果も期待できます。

4.脳の運動と感覚を担う分野が活性化

口に食べ物を入れて噛み砕き(咀嚼)、飲みこむ(嚥下)という一連の行為により得られる感覚刺激は、脳幹網様体と大脳頭頂葉の感覚野に伝達されます。

□から食物を摂取することにより咀嚼・嚥下という動作で喉・舌・唇で刺激を感じられ、これは感覚野の約30%を刺激することに繋がります。

また、身体の筋肉に指令を下し手足などを動かす機能を担っている運動野という領域が脳にはあります。

食物を手で掴み口に運んだり、噛んだり、飲み込んだりして動かす場合、運動野の70%を使うことになり刺激を与えることができます。

よって、口から食べるという動作により、感覚野と運動野を刺激し活性化することに繋がります。

胃ろうや鼻チューブで胃に栄養供給すれば必要な栄養は摂取できますが、意識をしっかりと覚醒することはできず感覚野・運動野に刺激も伝わらないので活性化することができません。

一方、自分で毎日3度の食事をして口から食べるようにしていけば、大脳皮質の感覚野と運動野の多くの部分が刺激され血流も増えて良い影響を与えることができます。

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