手際の良さだけでは、利用者の為になる自立支援に繋がるような生活援助とはなりにくいということも、介護士・ヘルパーは、しっかりと認識する必要があります。
同じ介護サービスでも身体介護と違い、生活援助では利用者の身体などに直に接して介護するという行為はありません。
そのため、手際よく家事などのをこなしたいという意識が働き、作業効率を最優先しがちです。
しかし、利用者の意向をまったく無視して家事を行なうという姿勢は、いくら身体に直接触れて介護を行わないからと言っても、介護理念からすると逸脱した行為で厳に慎む必要があります。
手際の良さばかりを意識して家事などを行うと、その作業自体があわただしくなり、バタバタと家のなかを動き回るヘルパーの様子を利用者が目にするだけで、せわしなく感じ落ち着いて過ごすことができなくなってしまいます。
この状態は、利用者の身心に対して悪い影響を及ぼす場合もあり、決して褒められた行動ではありません。
また、介護士・ホームヘルパー自身が長年家事を経験し、洗濯物をたたんだり、収納したりする事に慣れている場合でも、利用者の生活スタイルや習慣を無視して、ヘルパー自身のやり方を優先させてしまうのも問題です。
長年培われてきた利用者の生活習慣を優先させた生活援助を行うことは、身体介護を行う時と全く同じ考え方です。
介護士・ホームヘルパーは、利用者が日常生活を快適に過ごせるということを最優先し、普段の習慣を考慮した生活援助を行うことが、利用者の生活の質を向上させることに繋がります。