介護職による補修・裁縫の援助とは
日本では昔から物を大切に使用する習慣が残っており、衣類などはどこかしら痛んでくると何回も補修をして生地がすり減るまで使っていました。
しかし、現在では安く衣服などがネット購入できるような豊かな時代になり、少しでも痛んでくると使い捨てし、新しい物を購入するという使い捨て文化が一般的になっています。
補修・修繕するより新しいものを購入し直したほうが安くつくという発想から、抵抗なく物が捨てられるようになりました。
様々な物品が不要品として廃棄されゴミとなっていますが、その中でも衣類の廃棄量は多く、裁縫用具を持参し補修するという行為は日常ではほとんど見られなくなっています。
しかし最近では限度ある資源を大切にする、自然を守るなどの環境保全の考えが尊重され始め、それが世界共通の流れとなっています。
介護という観点で考えると、日常に於ける生活行動の安全性を確保し、社会性や人間関係を維持していくには、日々の身だしなみを整えるという行為は必ず必要になってきます。
例えばズボンのすそがほつれていたり、ゴムが緩んでいて垂れ下がっていたりすると歩行時に引っかけて転倒する事故にも繋がりかねません。
そういう観点では、衣服の補修は必要不可欠です。
また、身体が不自由で手足を動かしにくい方の場合は、衣服を着脱しやすいように、そでやすそをたくり上げたり、ボタンからファスナーに交換するなど裁縫改善を行うことも介護職の重要な生活援助となります。
介護職による衣服の補修・裁縫に於ける実際の援助方法
衣服の補修の手順
衣服を補修する場合の流れを考えると、一般的には下記ような手順で行われています。
- 外出したいと思う、ファッションに興味がある
- 身だしなみに気を使う
- TPO(Time:時間、Place:場所、Occasion:場面)に応じた衣服を選び着る
- 衣服の破損に気がつく
- 修繕方法を理解する
- 修繕に必要な材料を用意する
- 破損状況に応じた方法で修繕する
基本的な裁縫の技術と方法
介護職が利用者宅を訪問し、実際に衣服の補修・修繕・裁縫などの援助を行う内容としては、下記のような項目が大半で、これらは基本的な裁縫技術を身に付けていれば対処できるものばかりです。
- 2つ穴、4つ穴ボタンを付ける
- カギホックを付ける
- スナップを付ける
- ズボンのすそをまつる
- ズボンのゴムひもを交換する
- ズボンのほつれを補修する
- 破れた部分を補修する
裁縫には手縫いとミシン縫いの2つの方法がありますが、通常、訪問介護で行う場合は手縫いがほとんどです。
補修を行う際は、事前に衣類を洗濯し清潔にしてから実施し、利用者が求めればアイロンがけを行い形をきれいに整える場合もあります。
介護職が習得すべき裁縫の基本的技術
介護職員初任者研修を修了し資格取得後、訪問介護などで生活援助を行う場合、衣類の補修や裁縫を行うには、次の基本的な裁縫技術を身に付けておく必要があります。
動画のほうがわかりやすいので、アトリエさんのユーチューブ動画を紹介しておきます。
クリックするとユーチューブ動画に飛びますのでご了承下さい。