移動・移乗の介護・介助を行う意義と目的について

移動行為の目的・意義・役割とは

移動するということの目的や意義・役割には次の4つの理由があると考えられます。

移動・移乗の介助

日常生活を維持するための行為

 人が生きていくために欠かせない基本的な行為が食事と排泄で、栄養を摂取し、老廃物を排泄しなければ生きていくことができません。

また、洗面や歯みがきやなどの整容や入浴により、衛生的な環境を整え身体を清潔に保つことも重要です。
このような行為は、自宅の居間、寝室、洗面所、トイレ、浴室などの場所に移動して行われます。

なので、身体機能に障害があって移動が困難な場合でも、ベッドに寝たきりにならないよう、移動できるように支援することは、利用者が生活を維持していく上でも大切な視点です。

快適な生活を送る上で重要

 日常生活の中でもオムツを使用して、尿や便を排泄する行為は誰もが不快感を感じます。

ズボンや下着を下げたり上げたりできベッドから立ち上がる身体機能があれば、オムツよりポータブルトイレを活用する方が排泄を快適に行えます。

さらに、個室である便所まで移動可能であれば、落ち着いて人目を気にせず用を足すことができるので、移動するという行為は、生活を快適に過ごすためには重要な行為と言えます。

意欲を持って生活していく

 人は自らの様々な欲求を実現させていくために、他人や地域と交流し、その中で役割や責任を果たすような行動を起こします。

移動する動機の大きな理由に、この自己実現欲求が挙げられ、活動範囲を広げていくための原動力にもなっています。

高齢者が地域でのお祭りや親睦旅行などに参加することで、自分で身じたくを行い、相談ごとをしたりするきっかけになります。

また、園芸やゲートボールなど共通の趣味がある友人と会話し情報交換することは、趣味を継続していくための意欲向上につながります。

事故や障害で今まで通り生活が継続できなくなった場合の精神的ダメージは大きいものですが、福祉器具の利用や介助や援助により、再び目的地まで移動できるようになることは、前向きに意欲を持って生活を継続できるようになるので極めて大切なことです。

身体機能を維持し健康を保つ

 普通に生活を継続していくためには、筋力を保ち骨を丈夫にして関節もスムーズに動かせるよう身体機能を維持することが必要になります。

移動する行為は、体の態勢を変える動きを継続して行うので、関節の可動域や筋力を維持することにつながります。

私たちの筋力は、最大筋力に対して約2〜3割以上の筋力を使用することで、筋力を維持できるといわれています。

また、長期間に渡り、関節を動かさないと、拘縮といわれる可動範囲が狭くなる状態に陥ってしまいます。

骨も丈夫に保つ為には、重力に抵抗するような態勢をとることで骨に力が加わるようにする必要があります。

移動行為は、運動の一部とも言え、身体機能を維持することができ、そのおかげで移動することも可能になります。

移動行為は、健康に生活を継続する上での重要な基本動作といえるでしょう。

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