寝返りのしくみと体位変換を楽に行う介助方法の基本について

自然な寝返りのしくみ

 寝たきりで介護を必要とする利用者の場合、数時間おきに体位変換(寝返り)をしないと褥瘡などの問題が起こります。

また寝返りの介助を行う際でも、利用者の身体機能の障害の程度によっても手助けする範囲を考えながら行う必要があります。

介護職員は、利用者が自分で動かせる動作は見守り、それ以外を介助するようにします。

何もかも介助すると残存機能も衰え全く動けなくなり、ますます介護が必要となってしまうからです。

介護者の中には、介護される側の立場を無視し、力任せに強引に寝返り介助を行っている方もおられますが、これでは体の残存機能を活かせるような方法とはかけ離れたやり方で、自立できるように導くことはできません。

 ここではまず、人が意識せず自然と行っている寝返り動作を観察し、ポイントを押さえることで自然な流れで寝返り介助ができる手順と方法が見えてきます。

介護は、介護者が主体で、自分でできることは自分でやるという主体性や自立意識を引き出し、出来ない動作のみをサポートすることが、本来の介護の目的です。

人の自然な寝返りのパターン

 通常、私たちが寝ている時に無意識で自然に行っている寝返りは次のような順番で動作を行っています。

  1. まず寝返りしようと思っている側(左側)と反対側の右膝が立ちます。

    人の自然な寝返りのパターン1

  2. 右膝と同じ側にある右腕を持ち上げ、背筋上にかかっている重心を寝返りしようと考えている左側に移動し始めます。

    人の自然な寝返りのパターン2

  3. あごを引いて頭を少し上げ右肩も浮かしぎみにして左側に重心を移していきます。

    人の自然な寝返りのパターン3

  4. 完全に左半身に重心が移り寝返ることが出来ます。

乳幼児の自然な寝返りのパターン

  1. 仰向けに寝ている場合は、左右の足を上げてばたつかせます。
  2. ばたつかせている足が気になり始めます。
  3. そのうち手で足を掴み、くわえようとして口元に引き寄せようとします。

    乳幼児の場合は、育児中の方ならご存知の通り、見たもの全てに興味を抱き口に入れる性質があります。

  4. もっと口元に引き寄せようとしている内に自然と頭や肩が上がりだします。
  5. その結果体が丸まり姿勢が不安定になり左右どちらかに倒れ込みます。

寝返りのしくみに基づく楽な介助法

寝返りのポイント

 ここまで紹介した自然な寝返り方を観察するとポイントは4点です。

  1. 膝を立てる
  2. 腕を上げる
  3. 頭を浮かす
  4. 重心移動

普通は意識して行う動作ではないのですが、寝返りの動作を自分で行いながら確認すると、このような順番になっているはずです。

楽な寝返り介助の流れ

 実際の介助では、上記の4つの自然な流れに沿って寝返り動作を行ってもらうように介助していきます。

但し、利用者の身体機能の障害の程度によって本人ができる動作とできない動作があるので、可能な範囲で介助を行っていきます。

  1. 利用者は、左右の膝を立て足をお尻側に近づけます。

    楽な寝返り介助の流れ1

  2. 利用者は、左右の手を握り両腕を天井側に向けて伸ばします。

    楽な寝返り介助の流れ2

  3. 利用者は、体を丸めるようにして頭と肩を浮かし気味にします。

    楽な寝返り介助の流れ3

  4. 介護職員は、利用者の体の中心ではなく、腰と肩の中心の位置に立ちます。

    楽な寝返り介助の流れ4

  5. 介護職員は、利用者の膝の外側を軽くつかみます。

    楽な寝返り介助の流れ5

  6. 介護職員は、自分が立っている手前側に掴んでいる膝をゆっくりと倒していきます。

    楽な寝返り介助の流れ6

 このような流れで、介助を行えば介護する側は必要最小限の力で楽に寝返りをさせることが出来ます。

また、ポイントをしっかり理解していれば、利用者が自分の力だけで寝返りを行ったりすることも可能になります。

力まかせに行う介助は、介護するスタッフ側も介護を受ける利用者にも負担がかかり、決して満足できる介助方法ではありません。

そのような介助を何回も繰り返して行っていると介護者の腰や背中に疲労が蓄積し、腰痛や背筋痛が発症する一因になります。

 介護職員にも腰痛持ちの方がいますが、ボディメカニクスや自然な動作に従った介助を行っていけば避けることが出来ます。

入浴介助、移動介助などを行う場合も、無意識で自然とやっている動作を基本として行えるようにするのが望ましいと言えます。

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