介護士を目指すには、まず介護職員初任者研修を受講することになりますが、受講する際どこに申し込めばいいのか、また費用は修了までにどのくらい必要になるのかなどについて受講するための実際の手続き等について解説してみることにします。
介護職員初任者研修を主催している機関は、主に2種類あります。
- 公益性の強い社会福祉法人や自治体などの団体が即戦力を育成したり、ハローワークが就職支援を行うために主催するものです。
- 学校法人である専門学校や民間の介護サービス事業者などのが主催しているものです。
1.ハローワークで介護資格を無料受講するには
1-1.ハローワークの求職者向け職業訓練プログラムとは
厚生労働省が管轄するハローワーク(公共職業安定所)では、求職者向けの公的プログラム「ハロートレーニング」が提供されています。
ハロートレーニングには次の2種類があります。
- 公共職業訓練:
雇用保険が受給できる離職者や学卒者・在職者向けの職業訓練
- 求職者支援訓練:
雇用保険を受給できない失業者向けの職業訓練
求職者支援訓練の制度を利用すれば、テキスト代・交通費のみ自己負担となりますが、初任者研修・実務者研修の受講料は無料になります。
1-2.ハローワークの求職者支援制度で初任者研修・実務者研修を取得するには
①求職者支援制度の対象者
- ハローワークに求職申込みを行っている方
- 雇用保険の被保険者や受給資格者がない方
- 働く意思と能力がある方
- ハローワークが職業訓練支援をすることが必要と判断した方
②求職者支援制度の利用ステップ
- 介護職のステップアップを目指すには、まずハローワークに「求職者」として登録します。
- 登録後、「求職者支援訓練」の介護系コースへ申し込みを行い、書類や筆記・面接による選考試験に合格すれば開講日程が案内され受講がスタートします。
- 平日の日中に集中してカリキュラムを履修するスタイルが基本で訓練中は実技・座学を通じて基礎から実務レベルまで学びます。
- 修了後に初任者研修や実務者研修の修了証を取得できます。
- 資格取得後は就職支援窓口で職場紹介を受けられるのも強みです。
1-3.ハローワークの特徴について
公的機関である社会福祉法人や自治体の場合、受講料が無料であったり、費用もテキスト代程度というように経済的にも安い費用で受講できるケースが多いようです。
一見すると公的機関で受講するほうが断然得だと考える方もいるでしょうが、実際は条件がいくつかあります。
学習するには、日程表で予定された日時に決められた場所へ通い続け、講義や実技ともに全て受講修了しなければならない通学制がほとんどです。
しかも平日に授業が行われることが多いので、現在、育児中の小さい子供がいる方や会社に勤めているという人には通学するには非常にきびしいと思います。
突然の急用や病気などで休むことになった場合でも、補講制度が設定されていない講座・スクールでは、簡単に休めないところもあります。
また、主催団体の所在地の地元に住んでいる人が受講対象者になっている事も多くあり、講座修了後は、主催団体が指定する関連介護サービス事業所や介護施設で介護職員として就職し勤務することが受講条件になっている場合もあります。
私が見る限りでは最近の公的団体が主催する研修や講座は、やむを得ず休む場合は補講があったり、就職先もかなり融通がきくようになってきたと感じています。
公的機関の場合、自治体の掲示板や地元広報紙などで告知され募集していることが多いのですが、各都道府県のハローワークで職業訓練支援の一環として募集している場合も多くあります。
また直接、福祉人材センターなどに尋ねてもいいと思います。
1-4.ハローワークで資格取得するメリット・デメリット
| ハローワーク利用のメリット・デメリット | |
| メリット |
|
| デメリット |
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2.民間スクールで介護資格を取得するには
民間スクールで介護資格を取得する場合の特徴とメリット・デメリットを見てみましょう。
2-1.民間スクールの特徴について
介護職員初任者研修を受講する際、民間主催のものは公的機関主催のものと違って費用はかかりますが、融通がきくところが多いようです。
民間の団体・スクール・介護サービス事業が主催している介護職員初任者研修の場合、通信での自宅学習とスクーリングでの講義・演習という通信教育での受講形態がほとんどです。
また、スクーリングでの介護技術の実技演習も土日を使って実施するところが多くあります。
民間の団体・スクール・介護サービス事業が主催している研修は、やむを得ない事情によりスクーリングの講義や実技演習に欠席した場合でも、補講制度が設けられているところが多いので安心して受講できます。
民間の場合は、仕事を持っている人や平日や日中に時間的に余裕がない人でも学びやすい受講条件が整っています。
ただし、民間機関が主催する講座なので公的機関と比べると受講料はある程度高くなります。
受講料に関しては、テキスト代込みで安くて5万円代高くて10万円前後というところでしょう。
補講については、他のクラスで同じ授業がある場合は無料で振替講義ができるところも多くありますし、無料でなくとも1講義2,000円から4,000円程度のお金を支払えば補講を行ってくれるところがほとんどです。
民間団体主催の初任者研修で補講が設けられていないスクールはほぼありません。
また、受講期間中には、数回のレポート提出が義務づけら、修了試験も数時間程度行われ合格することが講座の修了条件となっています。
単に日程通り勉強して修了するだけで資格認定されるわけではないということです。
但し、研修修了後、指定の介護施設などに必ず勤務しなければならないということは公的機関が主催するものとは違いほとんどありません。
もし、民間機関指定の関連介護施設などに一定期間就職した場合は、受講料が全額返金されたりするスクールもよく見かけます。
すぐに働きたいと考えている方には、就職先もすぐ見つかり、受講料も無料になるのでこのようなスクールは大変お勧めです。
介護サービス事業者が主催する場合は、事業者に登録することで本人の希望と照らし合わせて就職先を紹介してもらえるケースが多くあります。
どちらにせよ、あせらず将来の仕事についてじっくりと検討したいという方には、やはり民間団体が開講している初任者研修をお勧めします。
自分の現状の生活スタイルを考え、無理なく受講できる講座・スクールを選択するようにすることが大切です。
2-2.民間スクールで介護資格を取得するメリット・デメリット
| 民間スクール利用のメリット・デメリット | |
| メリット |
|
| デメリット |
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3.ハローワークと民間スクールの違い
初任者研修は民間スクールでも行われていますが、ハローワークと民間スクールの違いを見てみましょう。
| ハローワークと民間スクールの違いとは | ||
| 項目 | ハローワーク | 民間スクール |
| 受講対象者 | 制限あり(定員制) | 制限なし |
| 受講料 | ほぼ無料 | 5~10万円前後 |
| 受講支援 | 職業訓練受講給付金対象なら月10万円の受講手当や交通・宿泊手当が受給 | 教育訓練給付金対象講座なら受講料20%返金 |
| 受講期間 | 約2ヶ月 | 約2ヶ月前後 |
| 開講頻度 | 限定的 | 豊富 |
| 受講時間 | 平日 朝~夕方 | 平日・土日祝・夜間(スクールによる) |
| 受講形態 | 通学 | 通学+通信(スクールによる) |
| 振替受講 | 基本的に不可 | 可(スクールにより有料) |
| 就職支援 | 公的就職支援あり | スクールにより就職支援あり(スクール紹介先に就職すれば受講料無料も) |
受講期間はハローワーク・民間スクールともに同じで、費用面ではハローワークが格安ですが、その他の条件を比べると民間スクールの方が受講しやすいといえます。
ハローワークで受講する場合、面接や筆記などの選考をクリアする必要があり、開講も平日の朝から夕方に限定されています。
一方民間スクールは、受講料はハローワークより高い設定ですが、制限なく誰でも受講可能で受講時間や受講スタイルも自分の都合に合わせて選択できます。
受講スタイルや総費用、受講日程を確認し、自分のライフスタイルに合うのはどちらかをしっかりと確認し判断することが大切です。






