介護職が行う洗濯の援助業務とは?

介護職員初任者研修の資格取得後、訪問介護などで行う洗濯の援助業務では、洗濯を行い衣類を清潔に保つということ以外に、利用者の自立支援という視点で援助を行うことが求められます。
単に家事を手伝うのであれば、 家政婦さんや家事代行業者が行えばもっと完璧に対処するのでしょう。
介護職と家事代行などの一般業者との大きな違いは、自立支援という視点で業務を行っているかどうかという点になります。
次に介護職が洗濯の援助業務を行う上での手順と内容、留意点を確認していきます。
介護サービスの利用者本人が汚れた衣類を出すように促します。
介護職は利用者の状況を見ながら洗濯物を出すように言葉かけなどを行います。
但し、介護職であっても他人ですので、多くの利用者は汚れた自分の下着などを見られるのは嫌だと思っている場合がほとんどです。
なので、そのような利用者の羞恥心や気持ち思いに十分配慮した言葉かけを行う必要があります。
介護職は、出された洗濯物をドライクリーニングすべきものと水洗いできるものに仕分けを行います。
中にはドライクリーニングも水洗いも不可という素材の衣類もあるので、最初にこのチェックは確実に行います。
ドライクリーニングは家庭では洗濯できませんが、水洗い可能な衣類は、白物、色物、排泄物の付着物にそれぞれ仕分けを行います。
多くの一般家庭に普及し使用されている全自動洗濯機の場合、分けて洗濯すると多くの洗剤や水が必要になり費用や時間がかさむので、白物と色物であっても量が少ない場合、一緒に洗濯してほしいと要望する利用者もいます。
特に便や尿、汗や血などの排泄物・吐物などで汚れている衣類は、感染症予防という観点で量がわずかであっても一緒に洗濯せずに区分し、これ以外の洗濯物については、利用者の要望を確認してから洗濯を行うようにしましょう。
汚れ方や衣類の繊維に適した洗剤を選定します。
多くの全自動洗濯機には、ドラム水量・洗濯時間・洗う強さなどの設定機能が備わっています。
利用者によっては、水道代・電気代を節約するため、通常コースではなく節約コースを設定している方や、使用する洗剤の種類や量が決まっていたり、脱水やすすぎ時間など、それぞれ利用者によって洗濯の方法が異なっているので、必ず事前確認を行ってから洗濯を行うようにしましょう。
洗濯機の種類や機能に即した支度を行います。
稀ですが二槽式洗濯機などの場合、排水の備えを実施しないといけない箇所は、必ず確認を行います。
次に、洗濯物と洗剤を投入し、スタートボタンを押します。
洗濯機の設置場所にもよりますが、操作ボタンのわかりにくいものや区別のしにくいもの、表示の見にくいものなどもあるので、目印や表示などを付けてわかりやすく工夫するのも時には必要です。
洗濯機の設定機能を変更する場合は、介護職が勝手に行うのではなく利用者本人と一緒に確認しながら行うようにします。
汚れものを洗濯し終えれば、洗濯機から取り出して物干し場などに持っていき干します。
立位が不安定な利用者に洗濯物を取り出してもらう場合は、イスに座って取り出してもらうなど安全に配慮します。
洗濯機から取り出した衣類をそのまま干すのではなく、一旦たたんでおくことでとシワが伸ばされ形が奇麗になります。
介護職は干す場所(屋外・室内)、使用器具(物干しざお・洗濯ハンガー)、干し方(日干し・陰干し)などについて事前に利用者の意思や要望を確認しておきます。
特に洗濯ハンガーを使用する場合は、利用者の手指力の強さを把握・確認し、弱ければ洗濯ばさみは浅くはさんでおき、衣類を引っ張りすぐに外せるようにしておくなど配慮します。
洗濯物がしっかりと乾いていれば取り込んで、たたんでいきます。
衣類をたたむという行為は、シワを伸ばし綺麗に形を整えるということ以外に、衣類繊維の耐久寿命を延ばすという効果もあります。
普段着に使用している多くの衣類は、アイロンをかけるものはほとんどありませんが、ワイシャツなどアイロンをかければ、見た目や風合いが維持できる衣類もあります。
利用者によって衣類のたたみ方にも違いがあり、それぞれ異なるので、利用者に事前確認をしてからたたむようにしましょう。
衣類をたたむという行為は、利用者が衣類を収納し取り出す時に楽にできるという利点があり、居住場所の整理整頓ができ転倒などの事故防止にもなります。
また、干す・取り込む・たたむの行為のうち、利用者にどの行為をやってもらうのか、介護職は自立支援の観点から、利用者と一緒に工夫して行うようにしましょう。
衣類をたたみ終われば決められた場所に収納します。
利用者本人が自分でタンスなどに衣類を収納するという行為を介護職が援助を行うことのメリットは、利用者の自立支援につなげることができるという点です。
介護職が利用者の側にいない時でも、必要なときに自分で必要な衣類を探し取り出すことが可能になり、利用者の自立に直結します。
以上のように、介護職員初任者研修の修了者は、単なる家事援助ではなく利用者の自立支援という視点で生活援助を行うことが重要です。