介護職員初任者研修の資格取得後、介護職として働く場合、認知症の特徴や脳機能などについて知っておくことが必要です。
認知症って何?
社会人になってから発生する認知機能の障害のために一般的な暮らしに困難をきたした症状を認知症と呼びます。
これとは逆で、生まれつき、もしくは生育期に認知機能の異変が見られるケースは知的障害と呼ばれています。
特に認知症の方は、同様の内容を何回何回も質問してきます。
認知症の方は耳にした出来事そのものを間もなく忘れてしまいますので、身内の方などは、「数十回も同じことを尋ねられた」と嘆かれますが、当の本人は毎回初めて尋ねたという認識でいます。
この状態が初期症状の時期によく現れる記憶障害と呼ばれる状態です。
さらに例を挙げると、15年前に会社を定年退職したのに朝になると出勤しようとしたり、また、「自分のお家に帰るので。」と口にして、わが家にいるにもかかわらず真夜中にお出かけしようと試みたりします。
「どういった風にケアしたらベストなのでしょう?」と介護する身内の方は困惑して相談されます。
認知症を発症すると、こういった様に、生活を送って行くことが困難になる生活障害が発現することになります。
脳の機能(情報収集・分析・判断)とは
現代人は日々生きて行くなかで様々な情報を感じ取って、昔の記憶やストックされた見識と対比させながら、二者択一の選択、若しくは「YES」「No」の選択をしていきます。
こういったものには記憶、知識、会話による交流、物事に対する理解力、思考力、計算や注意などを行うための生理的・精神的機能が関係しています。
情報を収集し、分析して決断を下すためのメカニズムと考えることもできます。
例えば、通常私たちは冷蔵庫を買い替える場合、食品を収容できる容量、費用、機能、また家で使用している冷蔵庫と比べてどういう新しい機能があるかなどを検討します。
また「身内が寄り集まって、冷凍食品を活用するケースも増えてきたので、冷凍庫が広いのがほしい」などと、家族の都合に合わせて、購入前に検討し考えます。
その他にはカタログを確認をしてみたりお店や知人などに尋ねたりして情報を整理して、こちらになるかなと結論を出します。
このように冷蔵庫を新しくするという行為には、収集した知識を覚えておく能力、お金を鑑定する能力、見比べたり結論付けたりする脳の働きが必要不可欠です。
さらに、会話のキャッチボールをしたり、読んだり書いたりする能力も必要です。
このようにショッピングをするという活動では、広範囲の認知機能を要します。
認知症の特徴とは
シルバー世代になると共に、認知症は発生率が高くなります。
認知症の発生率ですが、70~74歳では65~69歳の2倍となり、85歳を過ぎるとその発症率は30%近くになります。
そういう理由から、少子高齢化が顕著になっている我が国では、それに見合う対処が喫緊のテーマであると断言できます。
加えて、認知症は、脳神経細胞が元になる神経組織の異変が原因となって発生しますが、それについては間違いなく原因疾患がつきまといます。
原因疾患の特殊性を認識することが介護を行う際には、大変重要です。
さらに、認知症の経過は、進行性であるという特徴があり、認知症も高齢のお年寄りなどでは、老化や病状といったことがきっかけで悪化するケースがよく見られます。
1つの例として、15年前後の経過をアルツハイマー型認知症の場合、とることになります。
そのような経過を、身内の方や介護に関わる専門職と連携・協力しつつ介護職は、手助けしていく必要があります。