車イス操作のポイントを押さえコツを習得する
自力歩行が難しい利用者にとっては、車イスを使用することで、活動範囲が広がり安全に外出できる有効な方法です。
但し、介助者などが車イスの正しい操作方法を知らず、移動するのは大変だということで、外出することに消極的になる場合もあります。
そんな方は、ぜひ車イスの楽な操作のコツをマスターし、自由に外出して頂きたいものです。
外出した場合、平地では問題無く移動できると思いますが、一番の難関は段差を超える場合で、次に坂道を移動する場合だと思います。
段差の場合、力まかせに無理に持ち上げても疲れるだけで楽に越えることはできません。
まずは、ハンドグリップとステッピングバーをどのような順番でどう操作すればいいのか、そのポイントを把握し操作のコツを習得しておくと気軽に外出できるようになります。
段差を楽に越える操作のコツ
動作1. キャスターを上げる場合
間違った操作方法
握ったハンドグリップと踏んだステッピングバーを押し下げる。
正しい操作方法
握ったハンドグリップ後方に引き、同時にステッピングバーを踏んで前方に押し出すようにする。
動作2. 段差を越える場合
間違った操作方法
段差にキャスターが乗ってからハンドグリップを力まかせに持ち上げる。
正しい操作方法
段差にキャスターが乗れば握ったハンドグリップを前方向に押し出す。
高い段差を楽に越える操作のコツ
- 握ったハンドグリップ後方に引き、同時にステッピングバーを踏んで前方に押し出すようにして
- キャスターを上げたまま前進します。
- 段差の角に後輪が当たったら、静かに前輪キャスターを降ろします。
- 握ったハンドグリップを前方向に押し出すようにして車輪を前進させます。
更に高い段差を越える時の操作のコツ
例えば50センチの段差があるような場合は、一度に超えることはできないので、次の要領で車イスの操作を行います。
- まず25センチの高さで車イスの全体が乗るスペースのある台を準備します。
- まずこの台を段差を楽に越える操作のコツで説明したような要領で台の上に乗ります。
- 次も同じ要領で操作します。
- 段差越えを2回するのと同じことになり、50センチの段差でも越えることができます。
坂を下る時の操作のコツ
地面にキャスターを着けた状態で後ろ向きになって下っていくのが基本です。
場合によって前向きでキャスターを上げた状態で下るケースもあるようですが、利用者に恐怖心を与えないためにゆっくりとした一定のペースで下るのがコツです。
ガタガタの道を移動する場合の操作のコツ
ハンドグリップを押し下げ前輪キャスターが少し浮いた状態でバランスを保ちながら後輪を使って前進します。
このことで、利用者に激しいい振動を与えずにすみます。
車イスから自動車へ移乗する場合のポイントと操作のコツ
自動車の選定ポイント
車イスから自動車へ楽に移乗するには、まず車の選定が重要です。
ポイント1:シートの高さ- セダンタイプ…シートが低すぎる
- ワゴンタイプ…シートが高すぎて乗降が難かしい
- ミニバンタイプ…シートが適切な高さで一番使用しすい
- 全介助が必要な利用者…スライドドアタイプの車が便利
- 自力でつかまり立ちができる状態の利用者…手すり代わりになる開きドアタイプの車が便利
車イスの選定ポイント
次に車イスの選定が重要です。
フットレスト(足置場)、アームレスト(肘掛け)の取り外しができるタイプを選びます。
車イスから自動車へ移乗する場合のコツ
自力でつかまり立ちができる状態の利用者の場合は次の要領で移乗します。
- 開いた車のドアの先端を持ち立ち上がります。
- 先にお尻側からシートに座り、次に頭を入れ、体を回しながら足を引き入れます、
- コツは先に手や頭を入れて乗ろうとせず、お尻側から入れることで楽に乗り込むことができます。車イスに車から移乗する場合は、足を最初に出し自動車に乗った時と逆の動作を行います。
神奈川県川崎市役所
高齢者福祉施設における車いすの利用方法について「良い姿勢(pdf)」より
http://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000021/21062/file7.JPG