高齢になる利用者は、以下に紹介するようなトラブルにみまわれるケースが多くあります。
なので、訪問介護や施設介護に関係なく、担当するホームヘルパーや介護職員は、その対処法も心得ておく必要があります。
要介護高齢者などが骨折・捻挫した場合の対処法
年齢を重ね高齢になれば、骨を折ったり足首をくじいたり捻挫をしたりすることが多くなるのが一般的です。
特に高齢になると足腰の筋力が衰えて、体全体のバランスも悪化してくるので、ちょっとした段差につまづいたり、よろけて転倒したりするケースも多くあります。
そのため、大腿骨頚部やくるぶしの骨折や、転び方によっては手をついたはずみに手首を捻挫したり骨折したり、ころんだ姿勢によってはろっ骨の骨折なども少なくありません。
さらにカルシウム不足からくる骨粗鬆症も多く、それ以外の高齢者でも骨や関節そのものが弱くなりもろい状態にあるため、些細なことでも骨折や捻挫をすることが多くなります。
また、高齢者は痛みの感覚が鈍くなっていることもあり、骨を折っていることに幾日も気づかず過ごしていることもあるため、介護職は利用者の「大丈夫」という言葉を鵜呑みにし自分勝手に判断せず、まずは病院で受診するように助言することも必要です。
骨折した場合の対処法
利用者が骨折した場合、介護職は次のような対応を行います。
- 外傷を負っている時は、傷口の消毒を行います。
- 患部が腫れている場合は、傷のある部分以外に冷湿布を施します。
- 骨折部分を固定してから医療機関に連れていくか、体を動かせない場合は119に連絡します。
捻挫した場合の対処法
利用者が捻挫した場合、介護職は次のような対応を行います。
- 腫れている場合は氷・冷水・冷湿布などで冷やします。
- 捻挫個所をテーピンクするなどして固定します。
- 捻挫部分には触れず腫れが引くまでそっとしておきます。
- 入浴すると腫れるの数日間は控えます。
- 5日ほど経っても腫れが引かない場合は骨折の可能性もあるので、病院で受診します。
要介護高齢者などが頭痛・腹痛になった場合の対処法
頭痛になった場合の対処法
頭痛になる原因は、歯の痛み、かぜによる発熱、眼の疲労など様々ですが、まず頭痛の原因を探ります。
その中でも突発的に激しい痛みを伴う頭痛は、クモ膜下出血、高血圧性脳症、急性の髄膜炎や緑内障など、緊急治療を要する重篤な病状が原因で発生している場合も少なくありません。
利用者本人が我慢しずらい痛みを訴える場合は、すぐに病院に連れて行く必要があります。
腹痛になった場合の対処法
腹痛になる原因は、単なる食べすぎや食あたりなど様々ですが、急激に痛みを感じる場合は下記のような病状である可能性も否定できません。
このようなケースでは緊急手術を要する場合もあり、すぐに医療機関を受診する必要があります。
- 腸閉塞:
腸内の腫瘍・異物・捻転・痙攣などが原因で腸管通過が妨害される病気です。 - 胃腸穿孔:
胃腸壁に穴が開く病気です。 - 心筋梗塞:
心臓の冠状動脈が詰まり血液が流れなくなる病気で、胸部でなく腹部の痛みとして表れることもあります。
口から出血した場合
口から血を吐いた場合は、吐血と喀血が考えられますが、吐いた時の状態や発生原因は異なります。
吐血の原因は胃・食道・十二指腸など消化器系に異常があり、吐血の状態は食物も血が混じり、色は暗い赤茶色系統の褐色です。
喀血の原因は呼吸器系に異常があり、喀血の状態は咳をすると真っ赤な血が吐き出されます。
要介護高齢者などが(やけど)した場合の対処法
利用者が火傷した場合、介護職は次のような対応を行います。
- 清潔に洗った洗面器などに水を入れ、着衣状態のままで患部へ流しながら冷やしていきます。
- 一通りやけどの部分を冷やし終わってから着ている服は脱がします。
- 火傷に衣服が貼り付いている場合は無理にはがさず医療機関を受診します。
また、やけどを負った場合は迅速に冷やすのが基本的な対処法になりますが、次のような点に注意する必要があります。
- 軽いやけどの場合は流水で冷やします。
- 重いやけどの場合は流水で直接患部を冷やすのはNGです。
- 料理が原因のやけどの場合は患部に付着した汁や固形物を水で洗い流します。