ホームヘルパーによる料理・栄養・衛生などに関する食生活の援助方法とポイント

ホームヘルパーによる食生活(栄養・衛生)の援助方法

 食事はバランスよく必要な栄養を十分摂取することで人の身体を支えることが出来ます。

ホームヘルパーは利用者の調理を行う場合は栄養面に配慮し、保存する場合は衛生面に十分注意することが食生活援助の基本です。

1日に必要な食品の量とカロリーの目安

 食事は量だけでなく1日に必要とされている栄養素を十分摂取できるものでなくてはなりません。

また、タンパク質などの栄養素を摂取する場合、豚肉や豆腐んどいろいろな食品から満遍なく取るように心がけるようにしたいものです。

食品の摂取量は、食事バランスガイドは「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」から、一つづつ摂取できるよう具体的に目安として示されています。

食品の摂取カロリー量は、1日に必要なエネルギー量の目安で紹介されています。

食品の選び方

 食品の買い物を利用者から頼まれる場合が多いホームヘルパーは、良質な食品を購入できるよう生鮮食品のかしこい選び方も理解しておきたいものです。

食品の保存期間

 居宅サービスを利用している高齢者の自宅に行くと、賞味期限切れの食品や調味料などが放置されているケースも少なくありません。

保存状態が悪い場合は、健康を害したり食中毒などの事故を起こす場合もありますが、ホームヘルパーは利用者本人に同意を得ず勝手に始末するのは禁物です。

冷蔵庫に食品を保存する場合は、保存日や消費期限を記入しておくと、利用者本人や家族も一目でわかるので便利です。

ホームヘルパーによる食生活(料理)の援助方法

 ホームヘルパーは単に料理を作るだけでなく、高齢者の病状に適した調理法を理解しておく必要があります。

例えば、高齢者は嚥下障害が多く歯の状態も異なるため、咀嚼状態や食べやすさも各自によって違います。

高齢者の病状に適した食事とは

 食生活を正すことは生活習慣病を防止するための最も効果的な手段です。

食事の時間が大きな楽しみの一つという高齢者や障害者も多くいるので、ホームヘルパーは利用者の持病や病状を考えて適正な調理を行うことが求められます。

病状 適正な食事内容
糖尿病
  • 脂肪分を減らし、摂取エネルギー量を守る。
  • バランスのよい食事と、食物繊維を多く摂取する。
  • 糖分摂取は特に注意する。
  • 低カロリー食品を上手に活用して増量し満腹感を得られるようにする。
高血圧
  • 塩分は抑えながら、味気なさを工夫する。
  • よく咀嚼して腹八分目の食事量を遵守する。
  • カリウムを含んでいる小松菜などを使いナトリウム排出を促す食品を摂取する。
高コレステロール
  • 食物繊維を多く摂取し、腹八分目にする。
  • 脂肪は動物性よりも植物性を使用する。
中性脂肪過多
  • 糖分は控える。
  • 全体的に食事量は控えめにする。
骨粗鬆症
  • カルシウムやタンパク質を豊富に含んだ食品をとる。
貧血症
  • 規則正しく栄養バランスのとれた食事を、よく咀嚼してから食べる。
  • 鉄分やタンパク質を豊富に含んだ食品をとる。

咀しゃく困難な高齢者の食事とは

 歯に問題があったり、入れ歯の状態が合わない、噛む力が弱いなど咀嚼機能に障害があり食べ物を噛むことが困難な高齢者は少なくありません。

しっかり咀嚼できず食べ物を飲み込んでばかりいれば、胃腸に負担がかかり消化機能に問題が起こる可能性があり、咀嚼できないからといって食事量が少なくなると、栄養不足や偏りが起こる可能性が高くなります。

一概に柔らかくすると必ず食べやすいというわけではありません。

食べやすさは、利用者の歯や咀嚼の状態、食感、食温により異なるので、ホームヘルパーは調理を行う場合、利用者の状態や好みに合わせて作ることがポイントです。

食べやすい食事にするには

  • 一口で食べられる適度な大きさ。
  • 歯ぐきでも楽に噛み潰せる柔らかさ。
  • 筋がなく噛み切りやすい食感。
  • パサつかず、適度にまとまりがある食感。

嚥下困難な高齢者の食事とは

 食べものを飲み込む機能を嚥下機能といいますが、老化や障害などにより嚥下が困難な方の食事をホームヘルパーが作る場合、誤嚥性肺炎などの問題が起こる可能性が高いので特に注意が必要です。

飲み込みやすい食事にするには

  • 柔らかくする
  • 一口大以下に小さくする。
  • 液状の食べ物はトロミをつける。
  • パサついた食べ物は水分を補充する。
  • 弾力性のある食べ物は事前に潰しておく。
  • 麺など長い食べ物短く切っておく。
  • 筋や繊維があるものは切っておく。
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