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介護とは何か?

 介護とは要介護者の意思を尊重し、安全性を確保しながら地域や社会との関わりを維持していけるようにするのが介護の基本です。

適切な介護とは専門的な介護の知識と技術に基き、自立を促すことを前提にして、生活援助や身のまわりの世話を介護職が行うことです。

介護と介助の違いとは

 介護を行う際、本人にできることは任せて見守り、できない部分だけを援助するのが基本です。

家政婦のように、日常生活で本人や家族が出来ることまで全て代わって手助けをするのではなく、自立心を引き出すことを前提にして家庭や生活に深く密着し手助けするのが介護職としての責務です。

それだけに、利用者や家族にも大きく影響する結果となる為、ケースバイケースで対応できる臨機応変さが必要できめ細かな配慮が求められます。

 最近、老老介護や介護離職などが社会問題化し、身体介護や生活援助は、医療とは違った観点からの専門的能力が必要な仕事であることが世間でも理解されるようになってきました。

一見すると看護も介護もお世話する仕事に見えますが、看護は健康的観点から関わり、介護は家庭や生活自体に深く関わるもので、根本は違います。

介護は、生活上で必要な食べる、排泄する、風呂に入るなど健常者であれば自力でできる動作や行為などが、病気・障害・老化などの理由により、自力でできない状態にある方を手助けすることを言います。

介助とは、全体的な観点で使用される介護とは違い、個別に日常動作を手助けする行為を言います。

介護の基本原則

 個人の価値観や習慣は異なり、生活スタイルも千差万別で異なります。

ホームヘルパーは、その人らしさを保ちながら生活できるように援助するのが仕事なので、介護職自身が不合理だと思っても、利用者がやりやすい方法で行えるように手助けするのが基本です。

なので、次の点に留意して介護を行う必要があります。

  1. 利用者の価値観や本人の意思で選択し決定することを尊重し重視します。
  2. 介護職は、日々の観察を怠らず、異変や異常をすぐ発見できるよう心がけます。
  3. 地域社会との関わりや繋がりを持ち続け、生きる糧を見い出せるようサポートします。
  4. 安全を最優先しながら、病気・障害・状態が悪化しないよう予防重視します。
  5. 利用者本人でできることを増やしていけるようサポートします。
  6. 関連する専門職種スタッフと連携・協力しながら業務を遂行します。

利用者の自立を促すことが重要

 高齢になると、心身共に衰えくるので、介護職へ依存する気持ちが強くなり頼み事が多くなりますが、利用者が自分でできることにまで手を貸すと、身体機能の低下を招き自立心を削ぐことになりかねません。

但し、介護職は頼みごとをすぐ拒否するのでなく、「ちょっと努力してやってみよう」という気持ちを起こさせるような方向に導くのも介護者に求められる力量です。

利用者の自立心を引き出すには、できるような生活環境を整え、ヤル気を起こさせるようじっくりと話をすることも大事です。

在宅介護の特徴と進め方

 在宅介護サービスには、身体介護と家事援助があり、利用者の家庭に深く入り込み、利用者や家族とも深く関わりながら、常に状態観察を怠らず利用者だけでなく家族の精神的援助も行います。

利用者や家族の考えを優先して介護を行う

 利用者の価値観や意思、家庭習慣を優先して在宅介護を行うことが大切です。

介護する側の価値観や意見を利用者に押しつけても、あつれきが起こるだけで上手く介護することはできないと考えたほうがいいでしょう。

まず、利用者と家族の意思、考え、要望、習慣、自己選択などに耳を傾けるべきです。

介護職は、利用者と関わりがある近隣の親戚や友人知人など周囲の人々との対人関係も把握しておく必要があります。

 利用者の家族は、できる限り自分たちで介護を行いたいと考えていることが多いようですが、どうしても他人の手助けが必要になることもあります。

介護職は、家族でも介護できるのになどと感じても、実際はいろいろな事情があるので、自分勝手な判断をせず、利用者が最もよいと思える環境や状況を整えるよう努力します。

身体介護と家事援助について

 介護保険サービス上は身体介護と家事援助は区分されていますが、介護現場では作業が入り組んでいるので、単純に区別することはできません。

身体介護や家事援助にサービスランクの上下は無く、どちらも利用者が日常生活を送る上で重要なサポートとなり、安全・快適に生活できるように援助するという観点では、作業の流れの中でどちらも必要となります。

身体介護とは、利用者が食事、排泄、入浴、移動などを行う際に必要となる日常動作を、直接身体に触れてサポートする行為といえます。

家事援助とは、買い物や調理、掃除、洗濯など生活するために必要となるものや環境に対して手助けする行為といえます。

利用者・家族・周辺環境への観察が大事

 介護職は在宅介護を行う場合、介護や援助といった直接作業以外に観察するという行為も大変重要で、把握すべき主な要素を次に示します。

  1. 利用者の心身状態(残存能力)
  2. 家族の心身状態
  3. 家庭環境や家族関係の状態
  4. 居住環境
  5. 家族や近隣で介護に参加できる人の有無
  6. 活用できる地域福祉制度

ホームヘルパーは利用者と家族の緩衝剤の役目がある

 寝たきり状態の高齢者を家族が介護する場合、長年連れ添った家族では話題も少なく会話もなくなりがちですが、ホームヘルパーが介護に入ることで、昔話でも再度話すきっかけができて、楽しく会話することに繋がることもあります。

利用者は身内である家族だと甘えや慣れから当たったり怒ったりする方もいますが、介護職は赤の他人であるため話し方に注意し丁寧に自分の気持ちを伝えるため、それを聞いた家族は利用者の本心を理解し今後の家族介護に活かすことができることもあります。

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