限定された介護業務の時間から「相談時間」を捻出する
家族に要介護者を抱え自宅で介護を行っている場合は、利用者と家族共に、介護が要因となる様々なストレスを抱え込むケースが多くあります。
しかし、ストレスは日々の小さな出来事が徐々に蓄積し、解消できない状態が長期間に渡って続くことで大きなストレスとなり覆いかぶさってきます。
その結果、利用者への虐待や家庭の崩壊などに繋がることになります。
そのような最悪の状態を未然に防止するには、日々のストレスを都度解消することがポイントになりますが、定期的に利用者宅を訪問しているホームヘルパーなどがその大切な役割を担える立場にあるのだと思います。
わずか1日5分でも相談相手ができれば虐待防止につながる
身体介護や生活援助はもちろんのこと、利用者や家族からの相談に応じるという職務も介護職員の重要な仕事になります。
しかし、介護保険制度が施行され報酬額も時間単位で設定されている現状では、介護職員も時間に縛られてじっくりと相談に応じている余裕もなくなっています。
ただ、家族や利用者のストレスを緩和するには「相談に応じるという業務」が重要な役割を果たしているのも事実です。
相談してすぐに解決策が見つからなかっても、相談することでストレスが発散でき、ストレスが大きくうっ積することを防止する効果があるからです。
なので、ホームヘルパーは解決策を示せなくても、話をしっかり聞いてあげるだけでストレスを緩和でき虐待防止に効果を発揮できます。
時間がないという中でも利用者や家族の話を聞いてあげたいというホームヘルパーは多くいます。
この相反する事柄により板挟み状態になることを解決するには、介護のちょっとした合間を見つける以外に方法はありません。
これは、簡単にできることではないですが、なんとかするんだという意識や姿勢をホームヘルパー側がしかりと持っていれば出来ないことではありません。
下図で示しているように介護業務にはそれぞれ区切りが有ります。
このときの5分10分のスキマ時間を利用して相談を受け、日々会話を積み重ねていくことによりストレスを発散させる手助けを行うこともできます。
例え少し時間を要しても、利用者や家族の考えや気持ちを理解でき、その後の介護をスムーズに行えれば、10分程度の時間もすぐに挽回できるはずです。
介護業務の隙間時間を利用して相談を受けるコツ
利用者や家族からの相談内容の記録は残しておく
先ほどのような方法で相談を受けた内容は自分でわかるように手帳などの記録をつけておくことも必要です。
このようなことを日々地道に積み重ねていくことで、相談を受けた場合も一言で全体を推測でき、相手の気持ちや意図を察することができるので、適切な介助や援助の仕方が見えるようになってきます。
さらに、手帳を見ている時、何回も繰り返して相談を受けている内容については、緊急性のあるものだと察知でき迅速に対応することができます。
相談内容については、事業所の上司などに逐次報告していると思いますが、緊急性があると判断できる内容については、対応を促すなど踏み込んだ対処が可能です。
家庭内介護の場合は、どうしても家族などが介護に大きく時間をとられストレスを溜め込みやすくなる傾向にあります。
ホームヘルパーという立場は、利用者と家族の緩衝材ともいえる存在です。
その大切な役割を認識しつつ些細な内容でも相談に応じ、相談者の真意を理解できるように、洞察力を働かせるのもホームヘルパーの重要な役割だと言えます。