日本人が入浴・清潔保持を行うのはなぜか?
介護職員初任者研修資格を取得した介護職などは、次の入浴することの意味やメリットを理解し入浴介助を行うことが重要です。
風呂や銭湯は日本人の文化・生活習慣
人間は次のような色々な理由で入浴や清拭を始めとした手段を用いて、身体を衛生的に維持し、爽やかさや気持よさと言えるものを手にしています。
- 身体の汚れをキレイにしたいとき
- リフレッシュしたいとき
- 疲労を取り除きしっかりと熟睡したいとき
私達日本国民はグローバル規模で見渡しても入浴好きと考えられます。
昭和時代の中ごろ、それぞれの家に風呂が加速度的に一般化し始めましたが、そこに至るまでは共同浴場に於いての入浴が当たり前でした。
面識のない人と集団で一斉に素っ裸でお風呂に浸かることは一般的な生活習慣として認知されてきました。
大公衆浴場やスパは交流の場でもありました。
今日でも癒しや満喫感を期待し温泉を使用する方々は老若男女問わず幅広い年代でみられます。
それに加えて、今日この頃ではそれぞれの家にシャワーが一般化され、入浴の仕方も多様化しているようです。
体を清潔にする意味と理由
身体をきれいに保つのは人の本質的欲求の一種で、きれいに保つ手段として何と言っても効果抜群なのが入浴です。
それは次に挙げるような根拠により、身体を清潔にし維持する手段として入浴が特に有効性の高い方法だからです。
- お肌を衛生的に保ち、細菌感染を抑制する。
- 血液やリンパの流れや巡りをよくする。
- 代謝サイクルを促進し、老廃物の排泄を助長する。
- 筋肉の緊張や疲弊を軽減させる。
- 心とからだの緊張感がほぐれる。
- 胃腸など臓器の働きを高める。
障害者や高齢者から見た入浴・清潔保持の意味と効果
老化や障害が原因で新陳代謝が衰えたり、関節の可動範囲が狭くなったりするなど、日々において差し障りが生じてきます。
しかし、湯船につかると、身体的重量より解き放たれ、新陳代謝も促進されるため、ある程度スイスイと身体を自由に動かすことが可能になります。
こういった効用を、心と体の働きを促進させる要素と疲れの双方の面から鑑みて、入浴を実用的に取り入れるのがよいでしょう。
- 温熱作用:
血管が広がるので血の巡りがよくなり、利尿作用が促進されて体内老廃物の排泄が促されるので、内臓の機能や働きが活発になる。 - 静水圧作用:
身体がワンランクコンパクト化するほどの水圧がかかり、血液の循環がよくなるので心臓の働きも活動的になる。 - 浮力作用:
湯船では体重が通常の重さの11%程度に軽減され重さから解放される。
わずかな創意工夫で自宅での入浴は可能
高齢や障害により歩行が困難になると、大多数の方が、「これからは自宅のバスタブには浸かることは難しい」と考えがちになります。
そんな理由から寝たきり状態で湯に浸かる簡易式ゴム浴槽を使用したり、ストレッチャーに寝たまま入浴したりと、従来とは異なる方法でお風呂に浸かるようになるでしょう。
けれども介護とは「可能な限り通常の生活習慣を維持できるように手助けする手段」であるはずです。
私達日本国民からすれば入浴という生活習慣は、日々の一つの節目という意味で欠かせない生活サイクルの一つです。
現在に至るまでの方法を可能な限り保ち続けて湯船に浸かれるようサポートすることは、介護を必要とする方々の生活習慣や家庭の伝統などを守ることにも繋がります。
本人が満足できる入浴介助を行うには、わずかばかりの創意工夫があればできることです。
複雑な難しい方法は不要です。
寝たきり状態や自力歩行が困難な方であっても、イスに座ることさえ可能ならば自宅の湯船に浸かることは可能です。
車イスに座れる状態の方を、あえて寝たきり状態で湯船に浸からせるのはナンセンスです。
入浴の持つ意味
入浴は日常生活の内の一つの行為であり、健常者であれば、まず意識することはありませんが、日本国民からすればお風呂とは無くてはならない生活サイクルの一種です。
へとへとになって帰宅しても、使い慣れた自宅のお風呂に浸かれば、心身ともに余すところなく疲労回復できます。
例えば脳卒中が原因で車イス生活になった場合でも、工夫一つで自宅の風呂で入浴できる方法はあります。
しかし、多くの場合は寝た状態で簡易式のゴム浴槽にお湯を入れ、寝た状態で入浴したり、ストレッチャーに寝たまま機械を使用して浴槽に入浴する方法がとられています。
自分の家の風呂で入浴するには、浴槽と同じ高さに合わした台を引っ付けて並べ、この台に座り浴槽に出入りする方法で、従来通りに自宅の風呂でも入浴することが可能になります。