介護保険制度の住宅改修に対する給付は、要介護者の自宅に手すりを取り付けたり、段差を解消するためのスロープをつけたりする工事に対して支給され、住環境上での事故など危険性を少なくするために設けられている制度です。
また、住宅改修費が介護保険から支給されるのは次の6種類の工事が対象となっており、手すりの取付け、段差の解消などを実施した場合に給付されることとなっています。
介護保険制度の給付対象となる住宅改修の種類について
- 手すりの取付け
通路、玄関、廊下、便所、浴室などに手すりを取付けする際に行われる工事費用に対して給付されます。 - 段差の解消
玄関へのスロープ設置、居室の段差解消や敷居の撤去、浴室の床面のかさ上げなどに対して給付されます。 - 床面使用材料の変更
移動する際のスムーズ化、床の滑り止めなどに要する床材質の変更に対して給付されます。 - 開き戸から引き戸などへの扉の取替え交換
ドアノブの変更や、開き戸の扉をアコーディオンカーテン・引き戸・折れ戸などへの取替え交換に対して給付されます。 - 和式から洋式の便器などへの取替え交換
高齢者の足腰に負担がかかる和式便器から洋式便器への取替え交換に対して給付されます。洋式便器は洗浄機能や暖房機能が付いていても給付対象になります。
但し、現在使用している便器に暖房機能などのみを付加した場合は給付の対象にはなりません。 - 上記の①から⑤の改修を行う際に伴い必要となるような改修
給排水の設備工事が便所・浴室などの改修を行う際に必要になる場合や、壁の下地補強工事が手すりを取付ける際に必要になるような場合にも給付されます。
このような給付制度がない場合、自宅にて在宅介護を受けている高齢者は、部屋と廊下との段差、自宅玄関の段差、手すりが設置されていない階段や廊下などは、生活する上でも安全上大きな障害となり、転倒事故などの危険が常に伴う住環境といえます。
在宅において高齢者が自立した日常生活を安心して過ごせるようにするためには、上記のような住宅改修をしっかりと実施し、バリアフリーの住宅環境を実現することは、要介護者にとっても安全を保ちながら生活を維持できるという点でも大きな効果が期待できます。
要介護・要支援認定を受けている高齢者などが、日常生活を安全で健康的に維持することができるように住環境上の危険箇所を排除するための各種工事費用に対して住宅改修費を支給し援助しようというのが、介護保険制度が果たすべき本来の目標であり重要な役割であるともいえるでしょう。
介護保険制度上の住宅改修費の支給限度額・給付方法について
1. 住宅改修費の支給限度基準額
住宅改修費支給については原則1人1回までですが、20万円までは要介護度に関係なく給付され、利用者の自己負担額は改修費用全額の1割負担となっています。
また、20万円以内なら数回に分けて利用することも可能で、20万円超の改修費がかかるような場合は、その全費用は自己負担で支払う必要があります。
原則1人1回20万円までの支給となっていますが、3段階以上要介護の認定度がアップした場合は、過去に支給された実績がある方でも、20万円以内で1人1回に限って再度支給してもらうことが可能です。
2. 住宅改修費の給付方法
住宅改修費を給付してもらう手順は、住宅改修工事を施工した業者に、まず利用者が工事費の全額を一旦自己負担します。
その後、支給申請書など必要な書類を揃えて市町村に申請手続きを行うことで、支払った改修費の9割が介護保険から支給されます。
住宅改修費の給付方法も福祉用具購入費の給付方法と同じ方式で償還払い方式になっています。
住宅改修の流れ・給付手順
- ケアマネジャーなどへの相談
- 一部必要書類、申請書などの提出
支給申請書/住宅改修が必要とする旨を記載した理由書/工事費見積書/工事完成予定図 - 市町村による状況確認
- 施工業者による施工・工事完成
- 住宅改修費の支給申請手続き
住宅改修で必要になった全費用の領収書/工事費内訳書/工事完了後の完成写真/住宅所有者の承諾書 - 市町村による現状確認
- 介護保険より住宅改修費の給付