居住環境の役割と意義

　住まいは、人の生活の基盤となり、生きていく為には重要です。

住まいは、何をするにもプライベートな空間が確保されています。

好きなときに食事をしたり目覚めたり、好きなテレビを観たり音楽を聴いたり、好きな衣服を装い、誰にも干渉されずに寝たりトイレにいったり入浴したりできる自分なりのスタイルを維持することができる場所です。

身なりを整えたり食事をしたりするのも、自分自身が満足しながら行っており、このような生活行為は、生命維持だけが目的で行っているわけではありません。

意識することも特になく、心地よいという自然な感覚を感じながら、日常生活の中でそれぞれの行為が行われます。

また、人の安全が保たれ、個人の欲求を毎日の生活の中で満たす場であり、将来に向かって生きていく原動力をつちかう場所が住まいと言えます。

　住まいのもう一つの役目は、家族と生活を共にする場でもあります。

家族がお互いに役割をもち、それぞれ力を発揮し合いながら認め合い助け合って、幸せに生きていこうという心の豊かさを育む場所でもあります。

　以上のように住まいとは、人が快適に安心して生活ができ人生のどの年代においても住みやすく、家族をいたわり愛し育て、命尽きるまで安心して過ごせる場所であることが必要になります。

　毎日の生活をおくる為の住まいには、財産や生命を自然災害などから防御するために、雨・風・暑さ・寒さ・騒音・盗難などを避けることができる避難所としての役割があります。

南北に長い地形の日本では、台風の影響が多い地域、積雪の多い地域など、四季折々な気候風土が大きな特徴です。

　このような気候風土に対応するため、各地域では家の外観も独特で、街並みも風土に合致したものが長年の歴史の中で完成され発展してきました。

地域	日本の住居	住居の特長
世界遺産の白川郷（白川村役場）		雪が多いので、屋根の形が急斜面になった合掌づくりにより積雪を防げるような構造になっています。
沖縄の住居（琉球新報社）		台風が多いので、屋根が飛ばされるのを防ぐために方形屋根（ほうぎょうやね）や平屋の寄棟（よせむね）により、風通しがよい開口部が多い構造になっています。
日本海側の住居（長岡市栃尾支所）		雪が多いので、家の軒から出っ張った雁木（がんぎ）という庇（ひさし）が通路として利用されています。

　人は自然環境から大きな影響を受けるので、端的に言うと人の健康を守るために住まいがあるともいえます。

また、地域の自然環境に適合できず、住居を引っ越しする人もいますし、風土に合えば同じ場所で一生涯生活する人もいます。

住まいの役割も、家族や年齢、個人の人生観や生活スタイル、人生の各段階によっても変化してきます。

　人が安心して円滑に生活を営む為の土台としての役割が住まいにはあり、住む場所に関係なく人が満足し安全に生きていけるような住環境が住まいには求められます。