介護では「声かけ」がもっとも重要で全てがそこから始る
利用者の状態をしっかりと観察するは重要ですが、相手の状態を観察という行為だけで把握することは、そう簡単なことではありません。
観察する際のコツは、利用者の立場で考え、その時の気持ちを汲み取っていくことがポイントですが、初めて介護業務に就いた頃は難しいと感じる方も多くいると思います。
そこで、まずは声かけから始めるという介護の基本原則を徹底して行うようにすることが大切です。
どんな介護を行う場合でも、「今から○○をしますね。」と必ず利用者の身体に触れる前に「今からすること」を明確に伝えることが重要です。
これは自分自身に置き換えて考えると分かりますが、突然身体に触れられたりすれば、びっくりして不快感を感じる方が多いはずです。
逆に、動作をするたび事前に「声かけ」をしていけば、今から何をされるかを理解でき、利用者も心の準備ができて安心して介護を受けることができます。
つまり、「声かけ」を行うことでお互いのコミュニケーションがスムーズになり、結果として相手の人格や意志を尊重することにつながってくるのです。
「声かけ」をする際は、正面で相手の目を見ながら、笑顔や穏やかな表情で声をかけるようにするのがコツになります。
「声かけ」では、穏やかな表情が重要で、中には、鏡を使って笑顔などの表情を訓練させるという介護施設などもあります。
また、話かける際は、一つ一つの言葉を明瞭に発声できるようにし、大声で声かけをする必要はありません。
声かけをしない方がいい場合もある
声かけは介護の基本と言いましたが、認知症高齢者などは、声かけをしない方がいい場合や話さない方がよい言葉というものもあり、声かけをすることで、心に大きな不安を覚える場合もあるので注意が必要です。
このようなケースについては、初任者研修の受講内容や、勤務先の介護事業所などの業務マニュアルなどを参考にして学習するとよいでしょう。
利用者側の心理面から声かけの意味を考えてみると、介護士に毎日介護してもらっている高齢者の場合、迷惑・面倒をかけて申し訳ないという気持ちを抱いている方も少なくありません。
なので、利用者に声かけをしなかった場合、利用者側は介護士から無視されている、自分のことを嫌っているなどと勝手に思いこむようなケースもよくあります。
このような誤解をなくす為にも、介護現場では、声かけに始まり声かけで終わるということの意味をよく理解し、基本原則として意識することなく実践できるようにしたいものです。