車いすへの移乗介助を行う際の視点
軽度の麻痺や筋力の低下などがあっても、なんとか自分で動くことができ自立意識が高い利用者に対しては、本人のできるという意志を尊重し、時間がかかっても自分で移乗してもらうようにします。
車いすの準備や片づけのみを介護職員が行い、車いすへの移乗は見守るようにし、なにか危険があった場合には、即支えられるような態勢を取るようにしておきます。
ベッド〜車いす間の移乗介助の手順と留意点
介護職員は、利用者がもし軽度の左片麻痺があるなどの場合は、本人に残されている筋力を活かして自分で可能な限り移乗できるよう見守り介助を行います。
ベッドから車いすへの移乗介助のポイント
- 介護職員は、今から行う移乗介助の仕方を説明して利用者から同意を得るようにします。
- 利用者には、浅くベッドの端に腰をかけ端座位の状態をとってもらいます。
- 利用者の麻痺がある左側に介護職員は立って見守ります。
- 介護職員は利用者の手が届く位置に車いすを移動し、安全に注意しながら見守りますが、この時、利用者の健康な右半身側と車いすが接するような位置関係に車いすを持っていきます。
- 利用者は、自分が乗り移りやすい位置に健康な右側の手で車いすを動かしブレーキをかけます。
- 介護職員は、車いすの遠い方のアームサポートを健康な右側の手で握るよう利用者に説明します。
- 利用者は、健康な右側の脚を軸にし腰をくるっと回転させ車いすに座ります。
- 介護職員は、姿勢や体調に異常がないか利用者の状態を確認します。
車いすからベッドへの移乗介助のポイント
- 介護職員は、移乗介助の仕方を説明して利用者から同意を得るようにします。
- 介護職員は利用者の手がベッドに届く場所に車いすを移動しますが、この時、利用者の健康な右半身側とベッドが接するような位置関係に車いすを持っていきます。
- 利用者は、自分が乗り移りやすい位置まで健康な右側の手で車いすを動かしブレーキをかけます。
- 利用者は、健康な右側の足でフットサポートを上げ、床に足を着けてお尻を手前に動かします。
- 利用者には浅く腰をかけた状態になるよう介護職員が伝えます。
- 利用者には前屈姿勢の態勢になってもらいます。
- 利用者は健康な右側の手をベッドにつき、同じ右側の脚に自分の体重をかけながら前かがみの姿勢で腰を浮かせます。
- 利用者は、中腰の状態で健康な右側の脚を中心にして腰をくるっと回転させながらベッドに座ります。
- 利用者にはベッドの奥側に深く座ってもらい姿勢が安定するように促します。
- 介護職は、体調や姿勢に問題がないか利用者に話しかけ確認をとります。
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