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要介護者の拘縮の予防を図るには

拘縮とは何か?

 人は体を長期間動かさずにいると、関節や筋肉が固まり動かせなくなりますが、このような状態を拘縮と呼びます。

寝たきり状態の高齢者は、通常脚を伸ばして寝ていますが、この態勢が常態化すると、股関節が拘縮し座る姿勢もとれなくなり、食事や排泄も寝た状態でしか行うことができなくなります。

当然、自力でトイレには行けず、おむつ交換も難しくなり、車いすに乗るのも無理で移動できなくなるため、行動範囲はますます狭められ社会と孤立していくことになります。

介護職は要介護者が動かそうとする動作を手助けする

 要介護者が動けないからと言ってじっとしていると、筋肉や関節が固まり、さらに動けなくなって行動範囲が制約されることに繋がります。

介護職や介護者は、要介護者が体を動かすことを少し手助けをするだけでも拘縮を防止することが可能になります。

例えば、座る姿勢をとるだけでも筋肉や関節が働くため内臓も動くので、寝た状態で運動を行うよりは、起き上がり座位になるだけでも、体に大きな効果を与えることができます。

但し、体を動かした後は発汗するため、脱水や体の冷えに対処する必要があります。

拘縮の予防方法

 拘縮が起こらないようにするためには、自力で動かせる方は日々短時間でも運動する習慣を身につけ筋肉や関節の硬化を防止することが必要です。

拘縮予防の基本は、次の4つがポイントです。

  • トイレを済ましてから運動を行う。
  • 動きやすい服装で運動する。
  • 動作はゆっくりと勢いをつけずに動かす。
  • 動作は痛くない範囲内に留めて動かす。
自力で体を動かせる要介護者の場合
動かす部位 動作・方法
首と肩を 寝た姿勢のまま、頭を左右に倒したり、首を回転させる。
手と肩を 寝た姿勢で手をバンザイし、そこから左右に手を広げながら下ろしていく。
腰掛け姿勢で 揃えた膝を左右に傾ける。

上体を前後左右に倒したり、左右に軽く捻る。

足を 寝た姿勢のまま、膝や足首の曲げ伸ばしを行う。

体幹を鍛えるため、膝を立てた状態で左右に倒す。

自力で体を動かせない要介護者の場合
介護職が要介護高齢者の体に手を添えて動かす動作を手助けしながら行います。
動かす部位 動作・方法
肩を 手首やひじを支え、前後に動かしたり出来る場合は回転させる。
指を 手や足の指を1本ずつ曲げ伸ばしたり、そらせたり、回転させる。
脚を 脚の開閉させる。
ひざ・ひじ・腰を 膝や肘を曲げ伸ばしする。

腰を動かすために、寝た状態で膝を立てて左右に倒す。

足首を 足首を曲げ伸ばししたり回転させる。

マツサージと罨法の基本方法と効果

 介護職は医師に相談し指示に従ってからマッサージや罨法を要介護者に施す必要がありますが、血行促進の効果がマッサージにはあり、温める場合と冷やす場合が罨法にはあります。

マッサージで得られる効果

 肌を摩ったり軽く指圧することで血行が良くなり、筋肉疲労を和らげたり、冷えを改善したり、むくみをとったりすることで痛みを軽くすることもできるケースがあります。

また、寝返りや姿勢を変えたり、おむつの交換を寝たきり状態の高齢者に行う際にマッサージを実施することで、床ずれ防止・便秘改善・皮膚接触による心理的効果などが期待できます。

マッサージの種類と実施方法

 マッサージはむやみに行わず、医師に事前相談を行いOKが出てから実施し、また要介護者個々により、行ってほしいやり方や程度には差があるので、本人にどうしてほしいか確認をとってから実施します。

種類 実施方法
軽擦法 手のひら全体や指の腹を使用し、血管や筋肉の流れる方向に沿い、心臓に遠い部位から近い部位に軽く摩るようにする。
柔捻法 指先を軽く押しつけて円を描くように動かしたり、摘まんでもみほぐす。
圧迫法 手のひら・親指・こぶしなどを使い3~5秒押しつけた後、徐々に力を抜いていく。
振せん法 手や指で押しながら小刻みに振動させる。
叩打法 手でこぶしや手刀をつくり、軽くリズミカルに打つが、打つ強さは軽めと強めを適度に使い分ける。

罨法の種類と実施方法

 状態に応じて身体部位を温冷する行為を罨法と呼びますが、事前に医師・看護師に相談しOKをもらってから実施します。

使用具 注意点・使用法
冷やす 氷枕

氷のう

タオルを当て直に肌と接触しないようにする。

長時間当て続けないようにし、状態を確認しながら時々離すようにする。

氷枕の場合は寝床が結露で濡れるため、湿り防止のためビニール・防水布を敷き、その上にバスタオルを敷いてその上に氷枕を置く。

肩冷えしないよう置く位置を調整する。

シェルシート 緊急時に便利で、ひたいに貼り脱熱できる
保冷剤 緊急時に便利で、叩いて冷やせる
温める 湯たんぽ
(金属やフラスティツク製)
湯を満タンに入れる。

肌と直に接しないようタオルでくるむなどして、皮膚から10センチ程度離し使う。

湯たんぽ
(ゴム製)
湯は半分くらい入れ空気を抜き栓をする。

タオルでくるむ、袋に入れるなど、直に肌と接触しないよう、肌表面から10センチくらい離し使用する。

電気毛布

あんか

カイロ
長時間使用での低温やけどや脱水に注意が必要。
蒸しタオル 温湿布や温浴にも使える。
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