福祉用具の定義
福祉用具は、介護保険法に基づき高齢者に対して給付されていますが、昭和44年/1969年に老人福祉法に基づく日常生活用具給付等事業が施行されました。
また、法律上での福祉用具とは次のように定義されています。
給付対象者- 心身機能の低下により日常生活を営むのに支障のある心身障害者又は老人
- 上記対象者の日常生活上の便宜を図るための用具
- 上記対象者の機能訓練のための用具並びに補装具
介護職は、生活支援で利用者を介助する際、下記のような制度内容もしっかり把握し、有効活用することも重要な視点です。
障害者総合支援法- 目的…障害者の日常および社会生活に対する総合的支援のための法律
- 福祉用具…補装具、日常生活用具
- 目的…要介護者の日常および社会生活に対する介護サービス提供のための公的制度
- 福祉用具…福祉用具貸与、特定福祉用具販売の対象用具
実生活で福祉用具を有効に活用するポイント
生活上での問題点や課題を明確にする
生活動作ごとに福祉用具の活用で改善できる項目を明確にすることが大切です。
福祉用具を1種類導入しても、全ての生活動作が同時に改善されるわけではなく、利用者にとっては一動作に対する問題が楽になるだけです。
利用者との適合を考慮する
福祉用具と利用者の体型とが合致していることが福祉用具を使用する際には不可欠です。
例えば、ベッド上からの起き上がり介助をする場合、特殊寝台を使用し利用者の身体機能を補いながら、介護職の身体にも負担がかからないようにすることがあると思います。
この場合、大柄な体格の利用者で手をつく余裕がほとんどないようなベッド上では起き上がるのは困難です。
なので、もう少しベッドの幅が広いものを導入するだけで、利用者自身の力で起き上がり動作ができ、自立能力を助長することが可能になります。
単に介助をするだけでなく、起き上がりにくい原因を考え、本当に介助が必要となるかを見極めることも重要です。
家族介護者との適合を考慮する
浴槽内・浴室内のすのこや入浴用チェアの脱着で、家族が入浴する場合に余計な負担がかからないのかなど、家族介護者の身体能力も考慮して福祉用具を選択しておくことは大切です。
家族に負担が長引けば、身体的ストレスの蓄積で慢性腰痛等は悪化する可能性もあります。
そうなると、家族から介護の助けを得られない状況になるので、家族介護者の健康を保つためにも福祉用具との適合を考慮しておくことは重要です。
環境との適合を考慮する
洗い場で入浴用チェアを使用すると、スロープが急こう配で使いにくい、浴室扉が開け閉めできないなど、 使用場所の住環境により、効果の程度は異なってきます。
解決方法としては、単に今ある住環境に福祉用具を合わせるだけでなく、こう配や段差の解消、扉をジャバラ式にするなど、家具の配置を変更したり、住宅を改修したりして福祉用具が最も有効に使用できるような環境に改善するという着眼点も重要です。