介護職員初任者研修などで介護技術を習得した介護職員は、認知症の中期段階にある利用者などの変化内容とアプローチの仕方・関わり方をよく理解し介護を行う際に適切に対応できるようにしておく必要があります。
認知症中期段階にある高齢者などの変化に対するアプローチ方法
認知症中期段階にある状況において、当人と関わり合う人々がどう接していくかが、悪循環に陥らせないためにキーポイントとなります。
状況がよく理解できていないことから発生するBPSDが長時間に及ぶ行為・言語・姿勢などを繰り返したり・持続することにつながりやすく、認知症患者が安心して生活できるようにするために、この中期段階に適切な接し方や生活環境を整備することが、なにより大切です。
よって、介護職は、BPSDが発現する原因やその下地を理解することが大切です。
身体的変化に対する介護職の関わり方
感覚性失語などがある場合、言葉によるコミュニケーションが困難になるので、身振りでも考えを伝達できるよう本人の反応をよく観察しながら関わっていくようにします。
介護職は、見守りながら本人に歩行してもらい、ケースバイケースで付き添い、細かい動きには十分注意するように心がけます。
場所の失見当が原因で失禁や放尿をすることがあるので、トイレの場所表示や誘導を行います。
もし本人が失禁や放尿をしても、介護職は本人の羞恥心や自尊心を傷付けないように言葉かけを行います。
心理的変化に対する介護職の関わり方
周囲の状況がよくわからず、不安・苛立ち・寂しさで本人の心は一杯になっていることが多いです。
このような心の在り方が、徘徊や介護拒否につながる原因となるので、介護職は本人がどのような気持ちでいるかを常に考えながら介護を行うことが大切です。
行動変化に対する介護職の関わり方
意識が混濁状態になると、せん妄は何の前兆もなく突然発症します。
本人が訴えている内容をいきなり否定せず、明るい部屋で一服してもらい、意識が覚醒するような対応を行います。失敗を繰り返すなかで、鏡に映る自分と似た人との対話でやすらぎを感じていることもあります。
中度の認知症高齢者は、鏡に映る自分に対して苛立ちや怒りをぶつけ激しい言葉を投げつけることがあります。
この時に発せられる言葉は本音であることが多く、介護職はこの言葉を参考にして本人との関わり方を再度振り返り、会話時間やコミュニケーションの仕方など適切であったか見直す切っ掛けにします。
原因疾患から、どう対処するのが最良か、BPSDに関しては医療・介護職全体で検討していくことが重要です。
認知症中期段階にある高齢者などに対する介護職の関わり方
身体的変化に対する介護職の関わり方
不安定な歩行だからといって、安全面だけを重視した介護方法を行っていると、本人の残存能力を活かし自立させるというポイントが欠落してしまいます。
失禁や放尿の対応方法に関しては、単にオムツを使えばいいなどの、場当たり的な介助ではなく生活環境の整備も含め各状況に対応した介助方法を考えていくことが必要です。
心理的変化に対する介護職の関わり方
介護職や入居者と共に生活する場において、本人が安心できる環境整備を行い、孤独感や疎外感を感じないように支援していくことが大切です。
それには、悲しみや苦しみや喜びなど本人が発する言葉を注意して聞き入れ、思いや意思を理解し汲み取っていくこと、過去に本人がどのような暮らしや経験をしてきたかを知ることが重要になります。
行動変化に対する介護職の関わり方
本人が引き起こす言動は、何らかの要因や背景が引き金となっているのではという観点で捉え、その原因を突き止めるための具体策を検討していきます。
それらの言動が引き起こされるタイミングや場面・状況などを明らかにし、その原因と推測される内容を検討していきます。
例えば、1日の水分摂取が少ない場合に限ってせん妄が起こっている、鏡に向かって怒鳴っているのは介護職が関わっていない時が多いなど、起こっている表面的な現象にだけとらわれていても、真の原因はわからないものです。
場を活かした介護職の関わり方
本人にまだ残存している心身の能力を活用できるような生活環境をグループホームでどのように整備していくかが大切です。
掃除一つを考えても本人がやってみようという意欲や気持ちがなくては何もできません。
なので、介護職は、どのようなアプローチで本人のやる気や意欲に火をつけるかを考える必要があります。
そして、暴れたり暴言をはいたりするからといって、本人を孤立化させず、なぜ共同生活を送っているのかという目的をよく認識し、和と協調を核にした介助や支援が必要になります。